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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

冬のカモ観察会を行いました!

2011年02月23日
稚内
 今年も毎年恒例の「冬のカモ観察会」を2月上旬に行いました。その時の様子をご紹介したいと思います。

 稚内港で行うこの観察会は私にとって3回目となります。
参加してくださるお客さんには道北の豊かな鳥類相を紹介し、知らなかった鳥を知ってもらうのはもちろんのこと、身近にいる鳥の新しい面も見つけていただきたいと思いました。

 鳥を見るとき、私が大事にしたいのは「見慣れていると思わないようにしよう!」です。
私が野鳥の観察をし、種類を覚え始めたのは高校生の頃で、それまで周りにはいつも見慣れているスズメやカラスがいる程度だと思っていました。けれど本当に見慣れた鳥か疑ってみることで、スズメだと思っていた鳥が白いお腹に黒いネクタイ模様を持つシジュウカラだった、「キリキリコロコロ、ビィー」と鈴が転がるような可愛い声で鳴き、翼の黄色い線が鮮やかなカワラヒワだった、背中に黒と白の縞模様があり日本で最も小さいキツツキであるコゲラだった、という風にどんどん知っている鳥の種類が広がっていきました。
さらに、スズメの親が巣立ち後間もないヒナにかいがいしく餌を運ぶ様子や集まって砂浴びをする様子、カラスが縄張りを主張して鳴くとき非常にすごみがある格好をすること、など見慣れていた鳥にさえ注意しなかったら気づかなかった表情をたくさん見つけることができました。そのことを思い出して、観察会では少し注意しながら双眼鏡を覗き、鳥の目立ちにくい面も皆さんに見てもらうことにしました。

 冬の稚内港は主に海ガモ類、カモメ類で賑わっています。
コオリガモ、シノリガモ、クロガモ、ウミアイサ・・・。鮮やかな雄のカモにはいつも目がいき、すぐに覚えることができます。でも、同じ種なのに雌は意外と忘れがち。説明するまで違う鳥だと思っていた人もいました。
よし!もっと雌に注目するぞ!と思って双眼鏡を覗くと・・・。
あれ?今度は羽色が鮮やかになっておらず、地味で雌のように見えるけれど雄だな、というカモたちも結構混じっていました(※エクリプスか?)。鮮やかな羽の雄を覚えたらもうその種の姿形を覚えた気になってしまいがちですが、同じ種の中にも雄、雌、若い(?)雄などバリエーションがあることを改めて実感しました。


鮮やかな雄カモだけではなく、地味な集団にも注目してみると、雌や羽が鮮やかになっていない若い(?)雄などの顔ぶれが分かって楽しいですよ。

 この他に、ここ数年で稚内港では姿を見せる頻度が減っているウミガラスを10羽近く確認、ケイマフリも登場してくれました。どちらともパッと見た感じでは目立つ鳥ではありません。講師のパークボランティアさんの素晴らしい観察眼があったからこそ、見ることができました。さらに防波堤の上にはオジロワシも数羽舞い降りてくれ、参加者、主催者ともに大満足でした。


ウミガラスの登場!目を横切る黒いラインが特徴的です。


皆で野鳥カルタをやりました!

 その後、稚内自然保護官事務所内に戻り、参加者全員で講師のパークボランティアさん作成のサロベツの鳥類・動物を紹介するパワーポイントを見たあと、賀勢が作成した『サロベツ・稚内野鳥カルタ』を行いました。
野鳥カルタは50音を1つずつ頭文字に使って、サロベツ近辺で見られる野鳥の生態、特徴を表す読み札を考えてあります。ずっと住んでいる場所では、周りの環境をありふれて見慣れていると思ってしまいがちですが、この観察会を通して、もっともっと身近な自然観察を楽しもうと思ってくださった参加者の皆さんがとても多かったようです。参加してくださった20数名の皆さま、どうもありがとうございました。

<今回見られた野鳥たち 2011/2/5 10:00-11:00>
コオリガモ/シノリガモ/クロガモ/スズガモ/ウミアイサ/オオセグロカモメ/ワシカモメ/シロカモメ/ヒメウ
ウミガラス/ケイマフリ/オジロワシ
もっといたカモな・・・

※エクリプス
 繁殖期には鮮やかな羽色を持つカモ類の雄が、非繁殖期には雌のような地味な羽色になることがあり、その状態を“エクリプス”といいます。ギリシア語で「力を失う」ことを意味するそうです。カモの場合だと「男の魅力」を失うということになるのでしょうか。

この時期に見た羽が鮮やかになっていない雄カモ達をエクリプスといってよいのかどうかははっきりとは分かりませんでした。そもそも、エクリプスの状態とは若い故に繁殖羽が生え揃わない雄のことをいうのか、若い雄でなくてもエクリプスはいるのか、基本的な質問かもしれませんが、どなたかに教えていただきたいです。