アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
オオワシまとめ
2011年05月09日
上士幌
上士幌自然保護官事務所は大雪山国立公園内の業務が本来の仕事ではあるが、それ以外の緊急出動も突発的に行わなければならない。
その一例がオオワシやオジロワシ、タンチョウなど天然記念物・国内希少種の保護搬送である。今期の渡りは終了と見られるので三度の回収・搬送をまとめてみた。
1月14日午前11時過ぎ。道東道の浦幌IC付近でオオワシ(オジロワシとの連絡であったがオオワシの若い個体)が怪我をして飛べないところを道路パトロールの業者が保護してあるという連絡が入る。
古いシカ柵に挟まり抜けられなくなっていたようだ。
搬送先が決定したので保護されている会社の事務所へ走り、詳しい場所と状況は復路再び訊くことにして、オオワシを車に乗せ目的地の釧路湿原野生生物センターへ向かう。雪道を安全走行しながら時間短縮するために自分の昼食時間を無視して走り到着時間は午後2時頃であった。
野生生物センターでは鳥インフル、鉛中毒ともに陰性。怪我の治療と栄養不足による感染症治療を行い回復を待つことになった。空腹に耐えて帰路につく。※後日このオオワシは回復してHTBの番組で放鳥シーンがラストに放送された。
保護直前のオオワシ:道路パトロール会社提供
4月21日午前11時。鹿追町の林道でオオワシが死んでいるとの連絡が林道管理者から入る。
昼1時に現地の森林官と合流し回収作業を行う。目立った外傷無し。森林官によると近くに骨だけになったエゾシカの死骸があるとのこと。鉛中毒が疑われる。鳥インフルの可能性もゼロではないため死亡個体は強度抜群のビニールパックで3重にし、さらに専用プラスチックボックスに入れガムテープで封印する。既に死んでいるので釧路までは緊急搬送する必要もなく郵送で良いことになった。郵便局でかなり長い時間待たされたが無事配送してもらい、野生生物センターで死因を調べると胃の中に金属片があり、鉛中毒で間違いなさそうだ。
鹿追町のオオワシ死亡個体
4月27日午後4時。北海道新聞本別支局の記者から連絡が入る。
本別町の道道脇で昨日見かけたオオワシが至近距離でも飛んで逃げないのを不審に思い、帯広畜産大の教授に連絡したところ鉛中毒の疑いがあり通報すべきと助言を受けての連絡だった。外傷はないとのこと。
周囲が暗くなりオオワシを視認できなくなる前に保護する必要があるので急ぎ用具類や段ボールを用意して現地へ向かう。
途中の公園で記者と合流し目撃場所へ案内してもらうと道路脇の畑にいた。近づくと威嚇はするが飛び立てない。隙を見て頭に布をかぶせて目隠しをするとおとなしくなり、段ボールへ入れて車に乗せることが容易になった。この日は釧路湿原野生生物センターで治療に当たっている獣医が偶然にも十勝方面へ出張していたので近くの道の駅で合流しオオワシを受け渡すことができた。夜の8時を過ぎて治療を行った同センターのスタッフお疲れ様である。血中鉛濃度は「高濃度」であった。
※治療の甲斐無く収容先で死亡した。
威嚇する本別町のオオワシ
鉛中毒:エゾシカ残滓に残された鉛弾が鳥の体内に取り込まれ、胃酸によって有毒化し、神経障害、運動機能障害、貧血をもたらす。運動能力が徐々に下がっていき餌を獲ることができずにやがて衰弱死する。鉛弾は2001年に北海道の条例で禁止されている。
その一例がオオワシやオジロワシ、タンチョウなど天然記念物・国内希少種の保護搬送である。今期の渡りは終了と見られるので三度の回収・搬送をまとめてみた。
1月14日午前11時過ぎ。道東道の浦幌IC付近でオオワシ(オジロワシとの連絡であったがオオワシの若い個体)が怪我をして飛べないところを道路パトロールの業者が保護してあるという連絡が入る。
古いシカ柵に挟まり抜けられなくなっていたようだ。
搬送先が決定したので保護されている会社の事務所へ走り、詳しい場所と状況は復路再び訊くことにして、オオワシを車に乗せ目的地の釧路湿原野生生物センターへ向かう。雪道を安全走行しながら時間短縮するために自分の昼食時間を無視して走り到着時間は午後2時頃であった。
野生生物センターでは鳥インフル、鉛中毒ともに陰性。怪我の治療と栄養不足による感染症治療を行い回復を待つことになった。空腹に耐えて帰路につく。※後日このオオワシは回復してHTBの番組で放鳥シーンがラストに放送された。
保護直前のオオワシ:道路パトロール会社提供
4月21日午前11時。鹿追町の林道でオオワシが死んでいるとの連絡が林道管理者から入る。
昼1時に現地の森林官と合流し回収作業を行う。目立った外傷無し。森林官によると近くに骨だけになったエゾシカの死骸があるとのこと。鉛中毒が疑われる。鳥インフルの可能性もゼロではないため死亡個体は強度抜群のビニールパックで3重にし、さらに専用プラスチックボックスに入れガムテープで封印する。既に死んでいるので釧路までは緊急搬送する必要もなく郵送で良いことになった。郵便局でかなり長い時間待たされたが無事配送してもらい、野生生物センターで死因を調べると胃の中に金属片があり、鉛中毒で間違いなさそうだ。
鹿追町のオオワシ死亡個体
4月27日午後4時。北海道新聞本別支局の記者から連絡が入る。
本別町の道道脇で昨日見かけたオオワシが至近距離でも飛んで逃げないのを不審に思い、帯広畜産大の教授に連絡したところ鉛中毒の疑いがあり通報すべきと助言を受けての連絡だった。外傷はないとのこと。
周囲が暗くなりオオワシを視認できなくなる前に保護する必要があるので急ぎ用具類や段ボールを用意して現地へ向かう。
途中の公園で記者と合流し目撃場所へ案内してもらうと道路脇の畑にいた。近づくと威嚇はするが飛び立てない。隙を見て頭に布をかぶせて目隠しをするとおとなしくなり、段ボールへ入れて車に乗せることが容易になった。この日は釧路湿原野生生物センターで治療に当たっている獣医が偶然にも十勝方面へ出張していたので近くの道の駅で合流しオオワシを受け渡すことができた。夜の8時を過ぎて治療を行った同センターのスタッフお疲れ様である。血中鉛濃度は「高濃度」であった。
※治療の甲斐無く収容先で死亡した。
威嚇する本別町のオオワシ
鉛中毒:エゾシカ残滓に残された鉛弾が鳥の体内に取り込まれ、胃酸によって有毒化し、神経障害、運動機能障害、貧血をもたらす。運動能力が徐々に下がっていき餌を獲ることができずにやがて衰弱死する。鉛弾は2001年に北海道の条例で禁止されている。