アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
登山道で思う事 その2(登山道を維持していくという事)
2011年09月01日
東川
環境省では平成17年から大雪山において直轄整備事業として登山道の整備事業を行って来ました。これらは近自然工法と呼ばれる手法で石組み工や、木柵を使った階段工などと様々な手法で行われました。
当然のことながら、作ったものにはメンテナンスが必要になります。特に気象条件の厳しいここ大雪ではこれらの箇所の維持管理というものは避けて通れない問題です。
想定以上の量の雪解け水や集中豪雨による石組みの崩壊やぐらつきなど、今後に向けてこれからは維持管理の手法が問われてくる事でしょう。
維持管理を行うにはまず、補修技術を学ばなければなりません。それだけではなく、現場において「水の流れ」「豪雨時の水位」「登山者の行動」などを把握し、石組みの高さや位置の修正等を行う事が必要となってきます。
大雪山における石組み作業事例を1つ。こちらは浸食によって木の下部分が裸地なっていた箇所に石組みの階段工を設置しました。この石に苔が生えれば、人工的に作業した箇所と気付く人はいないでしょう(愛山渓での作業箇所)
段差を均一にしない事で、不自然さを持たせず、歩き易さにも配慮しています。
今後必要になってくる事は補修作業が出来る後継者を育てていく事で、これらの人たちに技術を伝えていかなければなりません。いずれ石組みが崩れたらそれでオシマイ。そうならないためにも技術伝承は重要なのです。
先日、旭岳裾合平方面で大雪山での工事に初期のころから携わってきている方を招いて、維持管理業務を委託している関係者と共に登山道の補修技術を学びました。多少の経験のある人、全く初めての人とそれぞれでしたが、一から基本的な技術を学ぶ良い機会になったと思います。
修復作業の様子。
写真手前が登山道の上手(かみて)側になるのですが、大雨の際などには当初の予想よりも矢印のように石を乗り越えて道を浸食してしまっています。このまま放っておけば、道の両側がさらに削れていく事でしょう。そのためには補修が必要になってきます。
下の写真はまだ完成前なのですが、分かりますか?(同じ場所です)
写真手前の部分は道の両脇にそれぞれ「力石(ちからいし)」と呼ばれるしっかりと固定できる石を埋め込み、水の流れを止めるための施工が施されています。写真では分かりにくいのですが、2つの力石を中央部分の石より高くすることで水を真ん中に誘導すると共に、その下に「水叩き(みずたたき)石」を石畳みのように埋め込む事によって、土が削れるのを防ぐための施工が行われています。
このような補修技術は一朝一夕で身に付くものではありません。登山道をよく観察するのはもちろんのこと、登山者がどのように歩くのかなどを把握し、色々と試行錯誤しながら現場にあった作業のやり方を模索していく事が重要になって来ます。それには何においても経験が重要という事になるのですが、まずはこのような作業に興味を持ってもらい、実際に現場で携わっていく人間を増やしていく事が今は必要です。登山道を守っていくのは現場に携わっている我々の役目だという思いを持たなければなりません。そしてその技術を受け継いでいかなければならないのです。
大変な作業だと思う方も多いと思います。が、やっている人間としては実は非常に楽しい作業なのですよ。石がピタッと決まった時の感動はやったものでなければ分からないものがあります。パズルがうまく入った時の感じですかね?
※(注)大雪山の登山道はほとんどが特別地域にあたる為、誰でも石を動かしたりしての作業は出来ません。登山道について何か気付いた点などがあれば、最寄りの自然保護官事務所等へお問い合わせください。
当然のことながら、作ったものにはメンテナンスが必要になります。特に気象条件の厳しいここ大雪ではこれらの箇所の維持管理というものは避けて通れない問題です。
想定以上の量の雪解け水や集中豪雨による石組みの崩壊やぐらつきなど、今後に向けてこれからは維持管理の手法が問われてくる事でしょう。
維持管理を行うにはまず、補修技術を学ばなければなりません。それだけではなく、現場において「水の流れ」「豪雨時の水位」「登山者の行動」などを把握し、石組みの高さや位置の修正等を行う事が必要となってきます。
大雪山における石組み作業事例を1つ。こちらは浸食によって木の下部分が裸地なっていた箇所に石組みの階段工を設置しました。この石に苔が生えれば、人工的に作業した箇所と気付く人はいないでしょう(愛山渓での作業箇所)
段差を均一にしない事で、不自然さを持たせず、歩き易さにも配慮しています。
今後必要になってくる事は補修作業が出来る後継者を育てていく事で、これらの人たちに技術を伝えていかなければなりません。いずれ石組みが崩れたらそれでオシマイ。そうならないためにも技術伝承は重要なのです。
先日、旭岳裾合平方面で大雪山での工事に初期のころから携わってきている方を招いて、維持管理業務を委託している関係者と共に登山道の補修技術を学びました。多少の経験のある人、全く初めての人とそれぞれでしたが、一から基本的な技術を学ぶ良い機会になったと思います。
修復作業の様子。
写真手前が登山道の上手(かみて)側になるのですが、大雨の際などには当初の予想よりも矢印のように石を乗り越えて道を浸食してしまっています。このまま放っておけば、道の両側がさらに削れていく事でしょう。そのためには補修が必要になってきます。
下の写真はまだ完成前なのですが、分かりますか?(同じ場所です)
写真手前の部分は道の両脇にそれぞれ「力石(ちからいし)」と呼ばれるしっかりと固定できる石を埋め込み、水の流れを止めるための施工が施されています。写真では分かりにくいのですが、2つの力石を中央部分の石より高くすることで水を真ん中に誘導すると共に、その下に「水叩き(みずたたき)石」を石畳みのように埋め込む事によって、土が削れるのを防ぐための施工が行われています。
このような補修技術は一朝一夕で身に付くものではありません。登山道をよく観察するのはもちろんのこと、登山者がどのように歩くのかなどを把握し、色々と試行錯誤しながら現場にあった作業のやり方を模索していく事が重要になって来ます。それには何においても経験が重要という事になるのですが、まずはこのような作業に興味を持ってもらい、実際に現場で携わっていく人間を増やしていく事が今は必要です。登山道を守っていくのは現場に携わっている我々の役目だという思いを持たなければなりません。そしてその技術を受け継いでいかなければならないのです。
大変な作業だと思う方も多いと思います。が、やっている人間としては実は非常に楽しい作業なのですよ。石がピタッと決まった時の感動はやったものでなければ分からないものがあります。パズルがうまく入った時の感じですかね?
※(注)大雪山の登山道はほとんどが特別地域にあたる為、誰でも石を動かしたりしての作業は出来ません。登山道について何か気付いた点などがあれば、最寄りの自然保護官事務所等へお問い合わせください。