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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

初冠雪と紅葉 ~秋から冬へ~

2011年09月28日
東川
 9月も下旬になり大雪の山々からは初冠雪の便りが届く時期となりました。
 日本一早い紅葉と初雪が何かと話題になるここ大雪山ですが、その最高峰旭岳の初冠雪について調べてみると。

・旭岳初冠雪平年値→9月25日
・最も早い記録→9月6日(大正14年)1925年
・最も遅い記録→10月15日(平成16年)2004年  ※旭川地方気象台HPより

 参考までにですが、富士山の初冠雪の平年値は9月30日とのことなので、1500mも富士山より標高の低い旭岳の方が初冠雪が早いというのは大雪山の気象の厳しさを物語っていると言えるでしょう。

 ここ数年は
・平成20年(2008年)→9月24日
・平成21年(2009年)→9月12日
・平成22年(2010年)→9月22日
・平成23年(2011年)→9月22日
しかしながら、初冠雪にはならなくても年によっては8月の下旬でも山頂で雪が舞っていたという話を聞く事があり、この時期になれば寒さ対策の一層の充実が必要になってきます。

そして初冠雪の際のもう一つの楽しみは「雪と紅葉」でしょう。


初冠雪の頃にはナナカマドの葉は落ちてしまっている事が多いのですが、年によっては綺麗なナナカマドの紅葉(写真中央部分)と初冠雪をした旭岳の頂きが拝める事があります。
※平成21年9月12日旭岳姿見園地より撮影したもの。


こちらは今年9月25日(日)の旭岳裾合平の様子。ナナカマドの葉は落ちてしまっているものが多かったのですが、雪化粧した熊ヶ岳(旭岳の隣、登山道はありません)とマット状に広がるチングルマの紅葉(若干色褪せてしまいましたが)が見られました。

 そして、初冠雪の便りが聞こえた頃になると毎年行う事、それは。

6月に張った登山道のロープの撤収作業です。雪の重みでロープが切れるのを防ぐため、毎年積雪前に行う恒例行事です。今年は初冠雪のあった直後の9月24日と25日の両日にパークボランティアの方とともに十勝岳、旭岳周辺の作業を行いました。

 植生の保護や登山道の複線化を防ぐために行っている作業ですが、6月のロープ張り、9月の撤収作業ともに気象条件の厳しい中での作業になります。3ヵ月間だけの為に張るロープですが、作業に参加していただくパークボランティアの方々には頭の下がる思いです。

 非常に労力を必要とするロープ作業ですが、ちょっと考えてみて下さい。
登山者一人一人が「登山道を外れない」という意識が持てばロープを張る必要はなくなるでしょう。それには山を訪れる皆さんのマナー向上が必要です。
「良い写真が撮りたい」「近くで花を見たい」「靴の汚れる泥道は避けて歩きたい」という気持ちはみな同じです。

 自分一人くらいは登山道をはみ出しても構わないのではと思っている方へ

「雪の積もる寒い中、ロープ作業をして山を守ろうとしている人を見てどう思いますか?」
「それでも自分だけは良い写真を撮る為に植物を踏みますか?」
「自分の靴を汚したくないために登山道を外れますか?」

 意識を変えてこれからは自分の事だけでなく、登山道や高山植物の事も考えながら山を歩いてみませんか?

 登山者のマナー向上によって、無駄なロープや鉄杭の無い自然な大雪山の風景が保たれる日が来る日を望みたいものです。