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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

第三回 しれとこ科学教室

2011年10月17日
ウトロ
8月の第二回に続き、10月15日に三回目のしれとこ科学教室がイワウベツ川で行われました。今回の講師は河川工作物のアドバイザー会議の座長をつとめている、中村太士先生(北海道大学農学部)です。
題は「海と森のつながりを取り戻せ」
世界遺産として認められた知床の自然の特徴・価値の一つは、「サケ類がのぼる川が結ぶ海と陸とのつながり」。つながりを取り戻すことが、世界遺産登録の約束でした。
さて、この「つながり」ですが、結ぶ役目をしているのは、この川を遡上するサケ類です。しかし、このイワウベツ川には六基のダムがありました。ダムがあるとそれより上流にサケは上がることが困難、または、できなくなってしまいます。そこで、5年前から改良を始め、昨年の秋に六基全ての工事が完了しました。今回の科学教室では、その改良したダムを、現地で実際にみながら説明をききました。始めに座学を行い、河川の本来のあるべき姿や、遺産地域内にあるダムの改良前と改良後の変化等を確認しました。そしてダムを改良することによって、サケがより上流にいき、産卵をしていることが確認できたと報告を受けました。

座学の後は実際に改良したダムの確認です。写真のダムは、真ん中の部分を空けることにより、サケの遡上が可能になりました。また、実際に上流まで遡上しているサケの姿も確認し、取り戻したつながりを実際に目で見ることができました。

さて、ダムとは関係ないのですが、面白かったのが、イワウベツ川の上流部にある支流である赤イ川・白イ川という川。その名の通り、赤い色と白い色をしています。赤イ川の方にはその成分のためか、サケは遡上しないようです。白イ川へは力強く遡上するサケの姿がありました。