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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

冬真っ盛り

2012年01月30日
稚内
冬本番の現在の礼文島。今回は雪も寒さも本番を迎えた真冬の礼文島の様子をお伝えします。

○桃岩歩道
 道道元地香深線から桃岩展望台へ続く町道は雪に閉ざされており、町道入口から展望台までスノーシューで歩いて30分ほどかかります。展望台付近は強い風の影響で雪が飛ばされ積雪はあまり多くありませんが、歩道上の雪の積もり方は一様ではなく場所によっては1m以上の積雪があります。また、歩道上は遮るものがなく、肌を突き刺すような冷たい風によって体感気温は非常に低くなります。さらに風で舞い上げられた雪で視界が悪くなることもあるなど、気象条件は非常に厳しい場所です。しかし、天気が良いと真っ白な雪化粧をした利尻山の雄大な姿を望むことができます。



桃岩歩道から望む利尻山。この季節、これほどはっきり見えるのは珍しいです(1/21)

○ゴロタ岬
 礼文島北部のゴロタ岬へは江戸屋山道からスノーシューで歩いて30分ほどかかります。ゴロタ岬までは夏であれば尾根沿いの歩道を歩いていきますが、積雪のある冬は強風や雪庇を踏み抜くことによる滑落を防ぐため尾根沿いを避けて斜面の陰になる谷筋を登っていく方が安全です。谷筋を登って行くとやがて岬まで続く尾根沿いの道にでますので、通行の際は海側の崖に寄らないよう注意してください。ゴロタ岬付近では運が良ければオオワシやオジロワシなどの猛禽類を観察することができます。また、コガネギクやエゾニュウといった植物の立ち枯れた跡を探すのも楽しいかもしれません。



ゴロタ岬へ続く歩道。左側のルートは比較的風が穏やかで歩きやすいです(1/22)

○久種湖
 久種湖は現在全面凍結しており、湖の上を歩くことができます。湖上の積雪深は10cmほどなのでスキーやスノーシューがなくても長靴で十分歩くことができます。春から秋にかけて渡り鳥や色とりどりの花でにぎわう久種湖ですが、現在は上空を飛ぶカモメやカラス、ときどき見かけるオオワシやオジロワシなどの野鳥を除けば生き物の気配をあまり感じません。ただ、久種湖周辺は礼文島には珍しい森林が広がっていてトドマツなどの常緑樹とダケカンバ、ハンノキ、イタヤカエデ、ナナカマドなどの落葉樹が混ざり合っています。落葉樹はこの時期葉を落としていますが、枝の先には冬芽が出ており、樹木ごとに違う冬芽の観察をすることはこの時期の楽しみの一つです。



上:凍結した久種湖(1/22 礼文森林の丘付近から)
下:ハンノキの冬芽(1/22 久種湖畔)

今年は12月から降雪量が多く、1月になってもその勢いは衰えるどころかますます勢いを増しているかのようです。また、降り続ける雪に加えて気温がマイナス10℃を下回る日もあるなど野外に出るには厳しい天候が続いています。しかし、寒さ厳しいこの時期だからこその楽しみ方があるのも事実。春の到来を望みながらもまだまだ続く冬を楽しんでいきたいものです。

※冬の山を歩くときは暖かい防寒着、手袋、帽子など万全の装備を用意し、単独行は避けるようお願いします。