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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

脱皮(だっぴ)

2012年02月23日
洞爺湖
洞爺湖ビジターセンターにて現在もウチダザリガニを飼育展示しています。(※)

いつもならエサを与えると数秒で隠れている石の下からでてきてエサをムシャムシャ食べるのですが、
急に食欲が無くなり、水槽の中を落ち着きなく動き回っていました。
おかしいなと思い数日がたち、朝、水槽を見てみると見慣れないザリガニが・・・
もう一匹のザリガニは尻尾の先から脚や触覚の一本一本まで綺麗に脱皮した抜け殻でした。
職員が帰宅した夜から朝にかけて脱皮をしたようです。


脱皮したウチダザリガニと抜け殻

脱皮は、失敗や脱皮の最中や脱皮直後など仲間に襲われたりして死んでしまう事もある命がけの行為です。
ひとまわり体が大きくなり迫力がましました。
今は柔らかい体を硬くするために自ら脱皮した殻を食べています。


抜け殻の食痕

飼育展示は常設ですので、ぜひ洞爺湖ビジターセンターに足をお運び下さい。

洞爺湖のウチダザリガニは水草や貝などを食べてしまい生態係に大きな影響を与えています。また、ウチダザリガニが保菌するザリガニペスト(水カビ菌の一種)が北海道に元々生息するニホンザリガニの住む水域に入るとニホンザリガニは全滅するといわれています。
そのため、洞爺湖では許可を受けた関係団体が協力してこれ以上広がらないよう調査や駆除を毎年行っています。

人間の都合で連れてこられ、子孫を残そうと増え、毎年、何万匹と駆除されるウチダザリガニ。
その中で、たまたま狭い水槽で飼育されることになったウチダザリガニ。
エサを与えながら生き物の命について色々と考えさせられます。

※ウチダザリガニ(学名:Pacifastacus leniusculus trowbridgii)
エビ目(十脚目)・ザリガニ下目・ザリガニ科に分類される北米大陸原産の甲殻類の淡水ザリガニの一種。日本には本来分布していない外来種。ウチダザリガニは外来生物法に基づき特定外来生物に指定されているため、ペットとしての飼育はできません。
飼育展示中のウチダザリガニは外来生物法に基づき、許可を得て飼育しています。