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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

自然観察会in西ヌプカウシヌプリ

2012年03月12日
上士幌
3月3日(土)に自然観察会を開催しました。場所は鹿追町の西ヌプカウシヌプリ(1251m)。講師は然別湖ネイチャーセンターの石川昇司チーフマネージャー。
一般参加者は13名でスタッフと当日取材に訪れた新聞社を入れると総勢17名でのスノーシュートレッキングとなりました。
標高900mのスタートですので標高差は約300m。登り約2時間、下り約30分の行程です。
今回は積雪もあって笹藪が隠れているため、通常の登山道ではない別の尾根から最短コースで山頂付近を目指します。
トドマツとダケカンバの疎林を登っていきます。所々で講師によるエビの尻尾(霧氷の一種)やアカゲラの巣の解説をしながら休憩を挟んで1200mを越えたあたりで少し岩が露出した箇所を発見。これが風穴の出口です。


然別火山群の一つである西ヌプカウシヌプリは岩礫が積み重なってできていて風穴が地下を縦横無尽に通っています。冬は標高の高い出口から温風が出ていてなぜか1200mを超える地点で氷柱が観察できます。ときに-30℃を下回ることが多いこの地域でなぜ雪が融けているのか不思議な感じがします。さらにこの地下には日本最古の永久凍土が眠っていることも最近わかってきました。専門的な説明は省きますが、永久凍土の発達にも風穴が深く関係しています。
風穴エリアを抜けるとゴール地点まではもうすぐ。山頂手前20mの開けた場所が折り返し地点で大休憩。



登りはじめは視界が悪く雪も降っていましたが徐々に雲が晴れて時折然別湖も見えます。下山開始から快晴に変わり十勝平野が一面に広がり向かいの東ヌプカウシヌプリも山容を現しました。下見では猛吹雪のなか心が折れそうになる雪中行軍のラッセルをしましたが、本番当日の天候回復に安堵です。