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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

利尻山登山情報

2012年06月06日
稚内
利尻島でも少しずつ夏の気配を感じるようになってきました。
とは言っても、麓の気温はまだ20℃に届かないぐらい。太陽が隠れると肌寒い季節です。

少し前の話になりますが、5月28日と29日に利尻山に登ってきたので登山道の状況をご報告します。

まず、利尻山登山の9割以上で利用される鴛泊コースは、8合目の長官山から15分ほど歩いた所にある避難小屋までは完全に雪が解けて夏道が出ています。
その避難小屋ですが、冬の大雪の為か出入口の扉が壊れてしまいました。利用は問題なくできますが、扉は出入口に立てかけてあるだけです。小屋を利用した後はまた扉を立てかけておいてくださいね。

そして、避難小屋から上は一部雪が残っています。
アイゼンやピッケルが無くても登れる程度ですが、雪山歩きに慣れていない方には軽アイゼンやストックを持つようお勧めします。



長官山付近から見た山頂部。赤線が避難小屋から山頂までの登山道。(5月29日撮影)


9合目より上の急傾斜にも少し雪が残っているので、不安を覚えるようであれば引き返すようにしてください。また登山道から外れて、歩きやすいからといって植生の上を歩いたりしないようにしてください。登山道と植生の境を見るとよく分かるのですが、利尻山のような火山礫の堆積した山は植物の育つ腐食土壌がとても薄く、人の踏みこみなどで土壌が失われるとどんどん浸食が進んでいってしまうのです。座ったり荷物を置いたりするのも同じですので、美しい利尻山をいつまでも残すためにも山に優しい登山を心がけたいものです。

また、上記の「植物の上に座らない、踏み込まない」というものの他に、「携帯トイレを使う」、「ストックにキャップをつける」という3つの「利尻ルール」というものがあります。
利尻山に訪れる多くの方に優しい歩き方をしていただけるよう呼びかけている地域ルールです。ストックキャップや携帯トイレは島内各所で購入することが出来ますが、サイズが合わない等といったこともあり得ますので、心配な方は使いなれた物、サイズの合った物を出発前に用意するのがよいかもしれません。
なお、現在鴛泊コース上にある携帯トイレブースは全て利用が可能です。

お次は沓形コースです。
所々雪が残っていますが、三眺山までは夏靴でOKです。ただ、登山道は雪解け水でぬかるんでいたり滑りやすくなっている個所があるので注意してください。ここでもスパッツを着用するなど対策をして、ぬかるみを避けて植生の上を歩くなんてことはしないようにしましょう。
三眺山の先にある沓形コースの難所「親知らず子知らず」のトラバースにはピッケルと12本爪アイゼンが必要です!また崩壊地直下ですので、融雪に伴う落石も多い時期です。十分注意してください。
親知らず子知らずの雪解け状況は追ってご報告します。
なお、沓形コースの携帯トイレブースはまだ冬囲いをした状態ですので利用はできません。



親知らず子知らずの現在の状況。赤線がルート。(5月28日撮影)

さて、花はどうなの?というと、登山道沿いでいろんな花が咲き始めてきましたよ~。
まだ花盛り!とはいきませんが、ツバメオモトやナニワズ、エゾエンゴサク、ザゼンソウなどなど。これからどんどんいろんな花が咲いてくることでしょう。一面のお花畑を楽しめるのはもう少し先です。





シマリスが忙しそうに走り回っていました♪


最後に。
5月28日に登った時の山頂気温は日中で7℃でした。風が吹けば体感気温はそれ以下になります。防寒対策をしっかりして利尻山登山を楽しみましょう!