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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

立秋を過ぎる時期になると

2012年08月09日
東川
「残暑お見舞い申し上げます」という時期になりました。早いもので暦の上では立秋も過ぎ、大雪の山々では白や赤の花から段々と黄色や紫色の花が目立つ時期となりました。

これからの時期に特に目立ってくる花がこちら。

エゾオヤマリンドウです。鮮やかな紫色が特徴ですが、まれに白花が見られることもあります。
 高山帯で咲く最後の花ですね。この花が終わるころには山頂から初雪の便りが聞こえる、もうそんな花の咲く時期となりました。


 花をよく観察していると、何やら中からモゾモゾしたものが・・・。

「ヨッコイショ」と中から出てきたのはマルハナバチ。こちらは在来種のエゾオオマルハナバチのようです。
 彼らも花の蜜を吸うのに必死のようで、カメラを近くで構えても「人間なんて構っちゃいられない、あたしゃ忙しいんだよ」と言われそう。


 大雪山の高山帯へも侵入が懸念され、問題となっているセイヨウオオマルハナバチが初めて大雪山で確認されたのが2006年。その後、東川自然保護官事務所では在来バチも含めたモニタリングを行っており、これまでに高山帯で捕獲されたセイヨウオオマルハナバチは合計8頭(ハチは1匹、2匹ではなく、1頭、2頭と数えるようです)。その全てが立秋を過ぎた8月上旬~下旬にかけて捕獲されています(旭岳周辺)。

 訪花していた花の主な内訳としては
・エゾオヤマリンドウ→4頭 ※2008年:3頭 2010年:1頭
・コガネギク(ミヤマアキノキリンソウ)→4頭 ※2008年:3頭 2009年:1頭
 というようにどうやらセイヨウはこの2つの花を好むようです。
2008年をピークに捕獲されたセイヨウの数は減ってきていますが、今後も引き続きモニタリングを行っていく事が必要でしょう。


「外来種」というと誰もが良いイメージはお持ちでないでしょう。が、元々は我々人間が持ち込んだもの。自分たちの後の世代に今ある日本の姿をどのようにして残していけるか。限りある自然をいかに守るか、1人1人で出来る事はごくわずかかもしれませんが、これまで守られてきた生態系をこれからも引き継げるように努力していきたいものです。

ここ数年では久々の「当たり年」と言われた旭岳裾合平の花畑。
この花畑で在来のマルハナバチが駆逐され、セイヨウオオマルハナバチが支配してしまうという事は絶対にあって欲しくありません。