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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

今年の花シーズンを振り返って

2012年10月01日
稚内
 長かった残暑もおさまり、礼文島はようやく秋の空気に変わってきました。華やかな夏の彩りから一転、山は枯れ色が目立つようになってきましたが、花の季節はまだまだ続いており、現在ラストスパートといったところです。
 秋の礼文島ではコガネギク(別名ミヤマアキノキリンソウ)やトウゲブキをはじめとするキク科、チシマリンドウやハナイカリをはじめとするリンドウ科、ミソガワソウやイブキジャコウソウをはじめとするシソ科の花が目立ちます。また、礼文島の秋の花と言えば、トリカブトの仲間リシリブシ(キンポウゲ科)も忘れてはいけません。そして、現在、礼文島の花シーズンの最後を飾るレブンイワレンゲ(ベンケイソウ科)が見ごろを迎えています。


秋の花々
上段左:コガネギク(9/8桃岩歩道) 上段右:チシマリンドウ(8/17鉄府)
下段左:ミソガワソウ(8/8桃岩歩道)下段右:レブンイワレンゲ(9/20江戸屋)

 これらの花は主に8月から9月に見ごろを迎える花ですが、今年の花シーズンは春先こそ例年よりゆっくり目のペースだったものの、初夏以降急激にペースアップしたことですでに咲き終わっているものが多く見受けられます。秋の花の代表格の一つツリガネニンジン(キキョウ科)も例年であればリシリブシとともに青紫の彩りを添えてくれるのですが、今年は8月中にほとんど咲き終わってしまい、リシリブシと並んで咲く姿はほとんど見られませんでした。


リシリブシとリシリフジ(利尻富士)(9/8桃岩歩道)

 今年の花シーズン、元気だったのはエゾエンゴサク(ケシ科)、カラフトハナシノブ(ハナシノブ科)レブンソウ(マメ科)、カラフトゲンゲ(マメ科)などで、その一方、エゾノハクサンイチゲ(キンポウゲ科)やエゾカンゾウ(ユリ科)などはやや元気がなかったように感じました。今年は冬の豪雪に始まり、霧の季節である6月の好天続き、その反動のような夏の天候不順、そして記録的な残暑など例年にない気象条件が続き、季節感覚がつかみづらい年でした。人間ですら感覚が狂わされる気象条件に季節に敏感な植物たちはさらに戸惑ったのではないでしょうか。上記のような花の咲き具合の差や通常より早い花シーズンの推移は例年にない気象条件が影響したのかもしれません。花の咲き具合は花粉を運ぶハチなどの活動と密接な関係があることや、多年草と呼ばれる植物は年によって花を咲かせず休養を取る場合があることなど様々な要因が関係するため一概には言えないところですが、年によって異なる気象条件が花の咲き具合にどう影響するのかは非常に興味深いところです。


上段左:エゾエンゴサク(5/19澄海岬) 上段右:カラフトハナシノブ(6/2桃岩歩道)
下段左:レブンソウ(7/24桃岩歩道)  下段右:カラフトゲンゲ(7/24礼文林道)
今年はたくさん咲きました