アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
The World Wetlands Day 2013.Feb.2
2013年02月14日
稚内
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2月2日は、ラムサール条約が締結された日として「世界湿地の日(The world wetlands day)」に定められています。そのため世界各地では、2月2日の前後に湿地にちなんだ様々なイベントが開催されています。
そこで、ウトナイ湖・支笏湖・洞爺湖・サロベツ原野など、日本の代表的な湿地を含む国立公園等を所管する北海道地方環境事務所では、平成24年9月24日に北海道の新たなラムサール条約登録湿地に道南の大沼(七飯町)が登録されたことを記念して、ウトナイ湖・支笏湖・洞爺湖・利尻礼文サロベツのアクティブレンジャーで、AR日記のリレー企画を行うことにしました。
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さて、サロベツ原野を皮切りに洞爺湖、支笏湖とリレーされてきたAR日記、第4弾も前回の福家ARに続き2本立てでお送りします。まず今回ご紹介するのはコハクチョウをはじめとする水鳥の渡りの中継地クッチャロ湖です。
オホーツク海に面した浜頓別町に位置するクッチャロ湖は南の大沼と北の小沼という2つの沼からなる周囲約27kmの汽水湖で、1989年に日本で3番目のラムサール条約登録湿地に登録されました。日本最北のラムサール条約登録湿地であるクッチャロ湖は渡り鳥にとって日本の玄関口となっていて、特にコハクチョウは日本で越冬する個体のほとんどが渡りの中継地として飛来するといわれています。
(クッチャロ湖についての詳細なプロフィールは以下のリンクから)
http://www.town.hamatonbetsu.hokkaido.jp/sightSeeingEvent/index_lake.phtml
浜頓別町ホームページ
http://hokkaido.env.go.jp/blog/2012/11/988.html 11/2
AR日記(中野)
クッチャロ湖はこれまでAR日記リレー企画で取り上げてきた地域と一つ大きな違いがあります。それはこれまで紹介してきたサロベツ原野、洞爺湖、支笏湖がいずれも国立公園に指定されているのに対し、クッチャロ湖は国立公園の指定はされていないということです。ただ、その一方で、クッチャロ湖は1968年に北オホーツク道立自然公園、1983年に国指定鳥獣保護区、1989年にラムサール条約登録湿地、1999年に東アジア地域ガンカモ類重要生息地に指定されるなど北海道を代表する風景地として、また、水鳥の飛来地としてその重要性が高く評価され保護が図られてきました。
クッチャロ湖の夕日とコハクチョウ(H24.11/21)
コハクチョウやカモなどの水鳥類は湿地に生育する水草や水生昆虫などを主食としています。しかし、クッチャロ湖では近年、窒素やリンなどの栄養塩の過剰な流入によるアオコの発生(平成9年)など水質の悪化が見られることから、平成16年に地元の浜頓別町や環境省をはじめとする関係機関によりクッチャロ湖等保全対策協議会が設置され、クッチャロ湖の貴重な自然環境を保全する取り組みが進められています。
地元の浜頓別町では大沼に流入するレカセウシュナイ川や小沼に流入する安別川に炭素製の繊維を沈めて有機物を吸着させる取り組みや、流域の無立木地域に土壌から流出する栄養塩をろ過する機能を持つドロノキやハンノキなどを植樹する取り組みを行い、クッチャロ湖の自然環境保全に努めています。
安別川河畔の植樹作業(H24.10/31)
クッチャロ湖とその周辺地域にはコハクチョウやカモなどの水鳥類のほか、同じく水辺の虫や貝類などを主食とするシギの仲間、虫や両生類や甲殻類などを主食とするサギの仲間など多様な野鳥が飛来します。これらの野鳥はクッチャロ湖の生態系の一部であり、仮にクッチャロ湖の自然環境が悪化し、餌となる水生生物が影響を受けると貴重なえさ場を失ってしまうことになります。クッチャロ湖の自然を守るということはその豊かさを求めて飛来してくる野鳥を守るということでもあるのです。また、クッチャロ湖の自然環境保全が重要であるのと同じく、世界的にも有数のコハクチョウの飛来地を多くの人に見てもらうことも重要であり、ハクチョウが町のシンボルとなっている浜頓別町ではクッチャロ湖を重要な観光資源と位置づけ利用の促進を図っています。貴重な自然を守りながら利用していく、それはラムサール条約の基本理念の一つ「ワイズユース(湿地の賢明な利用)」につながっています。
http://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/1.html
ラムサール条約(環境省自然環境局)
上段左:クッチャロ湖を訪れる観光客
上段右:水鳥観察館入り口付近に設置されている顔出しボード(浜頓別町のイメージキャラクタースワットンとハッピーリングが描かれています)
下段:ラムサール条約湿地であることを示す標識
湖畔の水鳥観察館では湿地の紹介や飛来する水鳥などの情報発信を行っています。ラムサール条約の基本理念の一つ交流・学習ができる施設ですので、クッチャロ湖へお越しの際はぜひお立ち寄りください。
http://www.town.hamatonbetsu.hokkaido.jp/sightSeeingEvent/index_mizudori.phtml
浜頓別町水鳥観察館ホームページ
Part2へつづく
2月2日は、ラムサール条約が締結された日として「世界湿地の日(The world wetlands day)」に定められています。そのため世界各地では、2月2日の前後に湿地にちなんだ様々なイベントが開催されています。
そこで、ウトナイ湖・支笏湖・洞爺湖・サロベツ原野など、日本の代表的な湿地を含む国立公園等を所管する北海道地方環境事務所では、平成24年9月24日に北海道の新たなラムサール条約登録湿地に道南の大沼(七飯町)が登録されたことを記念して、ウトナイ湖・支笏湖・洞爺湖・利尻礼文サロベツのアクティブレンジャーで、AR日記のリレー企画を行うことにしました。
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さて、サロベツ原野を皮切りに洞爺湖、支笏湖とリレーされてきたAR日記、第4弾も前回の福家ARに続き2本立てでお送りします。まず今回ご紹介するのはコハクチョウをはじめとする水鳥の渡りの中継地クッチャロ湖です。
オホーツク海に面した浜頓別町に位置するクッチャロ湖は南の大沼と北の小沼という2つの沼からなる周囲約27kmの汽水湖で、1989年に日本で3番目のラムサール条約登録湿地に登録されました。日本最北のラムサール条約登録湿地であるクッチャロ湖は渡り鳥にとって日本の玄関口となっていて、特にコハクチョウは日本で越冬する個体のほとんどが渡りの中継地として飛来するといわれています。
(クッチャロ湖についての詳細なプロフィールは以下のリンクから)
http://www.town.hamatonbetsu.hokkaido.jp/sightSeeingEvent/index_lake.phtml
浜頓別町ホームページ
http://hokkaido.env.go.jp/blog/2012/11/988.html 11/2
AR日記(中野)
クッチャロ湖はこれまでAR日記リレー企画で取り上げてきた地域と一つ大きな違いがあります。それはこれまで紹介してきたサロベツ原野、洞爺湖、支笏湖がいずれも国立公園に指定されているのに対し、クッチャロ湖は国立公園の指定はされていないということです。ただ、その一方で、クッチャロ湖は1968年に北オホーツク道立自然公園、1983年に国指定鳥獣保護区、1989年にラムサール条約登録湿地、1999年に東アジア地域ガンカモ類重要生息地に指定されるなど北海道を代表する風景地として、また、水鳥の飛来地としてその重要性が高く評価され保護が図られてきました。
クッチャロ湖の夕日とコハクチョウ(H24.11/21)
コハクチョウやカモなどの水鳥類は湿地に生育する水草や水生昆虫などを主食としています。しかし、クッチャロ湖では近年、窒素やリンなどの栄養塩の過剰な流入によるアオコの発生(平成9年)など水質の悪化が見られることから、平成16年に地元の浜頓別町や環境省をはじめとする関係機関によりクッチャロ湖等保全対策協議会が設置され、クッチャロ湖の貴重な自然環境を保全する取り組みが進められています。
地元の浜頓別町では大沼に流入するレカセウシュナイ川や小沼に流入する安別川に炭素製の繊維を沈めて有機物を吸着させる取り組みや、流域の無立木地域に土壌から流出する栄養塩をろ過する機能を持つドロノキやハンノキなどを植樹する取り組みを行い、クッチャロ湖の自然環境保全に努めています。
安別川河畔の植樹作業(H24.10/31)
クッチャロ湖とその周辺地域にはコハクチョウやカモなどの水鳥類のほか、同じく水辺の虫や貝類などを主食とするシギの仲間、虫や両生類や甲殻類などを主食とするサギの仲間など多様な野鳥が飛来します。これらの野鳥はクッチャロ湖の生態系の一部であり、仮にクッチャロ湖の自然環境が悪化し、餌となる水生生物が影響を受けると貴重なえさ場を失ってしまうことになります。クッチャロ湖の自然を守るということはその豊かさを求めて飛来してくる野鳥を守るということでもあるのです。また、クッチャロ湖の自然環境保全が重要であるのと同じく、世界的にも有数のコハクチョウの飛来地を多くの人に見てもらうことも重要であり、ハクチョウが町のシンボルとなっている浜頓別町ではクッチャロ湖を重要な観光資源と位置づけ利用の促進を図っています。貴重な自然を守りながら利用していく、それはラムサール条約の基本理念の一つ「ワイズユース(湿地の賢明な利用)」につながっています。
http://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/1.html
ラムサール条約(環境省自然環境局)
上段左:クッチャロ湖を訪れる観光客
上段右:水鳥観察館入り口付近に設置されている顔出しボード(浜頓別町のイメージキャラクタースワットンとハッピーリングが描かれています)
下段:ラムサール条約湿地であることを示す標識
湖畔の水鳥観察館では湿地の紹介や飛来する水鳥などの情報発信を行っています。ラムサール条約の基本理念の一つ交流・学習ができる施設ですので、クッチャロ湖へお越しの際はぜひお立ち寄りください。
http://www.town.hamatonbetsu.hokkaido.jp/sightSeeingEvent/index_mizudori.phtml
浜頓別町水鳥観察館ホームページ
Part2へつづく