アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
相泊から観音岩へ
2013年04月25日
羅臼
はじめまして。
平成25年4月より、羅臼自然保護官事務所にアクティブ・レンジャー(以下AR)として着任した上村 文望(かみむら あやみ)です。
自然を学ぶ専門学校に入学し、獣害対策、野生動物の保護とリハビリ、環境教育・・・
様々な「自然」を学ぶうち、自然から離れられなくなってしまい、卒業と同時に北海道へ移住しました。
北海道の中でも、羅臼は特に森と海が深く結びつき、豊かな環境が保全されています。厳しくも美しい山々と、そこに住まう動物たちの身近にいられる事に感謝し、ひとまずは一人前のARになるべく日々奮闘中です。
どうぞ、よろしくお願いします。
さて、先日「知床半島先端部地区」に位置する観音岩に、ワシ類調査に行ってきました。
-== ====「知床半島先端部地区」とは・・・、=== = ==-
○ヒグマの高密度生息地
いつどこでヒグマに遭遇するかわかりません。
○数々の難所
何メートルもある巨大な岩、一歩でも踏み外したら海に落ちてしまいそうな岩壁や急斜面。
○自己責任
先端部地区は番屋があるのみ。夏場は人が滞在していますが、頼ることはできません。
(詳しくは、知床半島先端部地区 利用の心得「シレココ」をご覧ください。)
http://www.env.go.jp/park/shiretoko/guide/sirecoco/index.html
-== = ===================== = ==-
残雪箇所があるため、途中まではスノーシューでの雪上移動となりました。
スノーシューを脱いだ先には、長い石浜が待ち構えています。
まるで高山のガレ場のよう・・・!しかし、すぐ右手にはうねりをあげる根室海峡。
シノリガモやオオセグロカモメたちが、荒波にもまれています。
波にのまれないかと心配しながら、先に進みます。
観音岩までの間、頭上にワシがいないか、海辺にどんな鳥がいるか、浮き石に転ばないか、いろいろなものに注意をはらって進むのですが、特に注意をはらわなければならないものがあります。
それは・・・、ヒグマです。
いきなり急接近でヒグマと出会うのが最悪のパターン。こちらが先にヒグマを発見することが大切です。
大きな岩陰に潜んでいることもあるので、見通しがきかない場所では声をだして、人の存在をアピールします。
大きな足跡や、エゾシカの残滓が目につくようになったころ、出会いました。
ヒグマです。
同行していた三宅保護官が大きな声を出すと、驚いたのか崖を登っていきます。
途中こちらに一度目配せし、再び山に帰っていきました。
姿が見えなくなったとはいえ、ここはヒグマの高密度生息地。他の個体がすぐ近くにいるかもしれません。油断は禁物です。ほいー!と大声を出して進みます。観音岩に到着後、天気も悪いのですぐに相泊へ引き返しました。
今回の調査で確認できたワシは、不明一羽。オジロワシやオオワシは、おそらく繁殖地へ渡っていってしまったのでしょう。
荒波にもまれる水鳥、急峻な崖をものともしないヒグマ、野生生物の自然と一体化した姿は言葉では言い表せない感動があります。
●観音岩を望む。
ですが、判断を誤ると、生命の危機にもつながりかねない知床半島先端部地区。
再び訪れる時は、万全の準備で羅臼の大自然に失礼のないように、挑みます。
勉強の日々ではありますが、今後も羅臼での日々をAR日記で皆様にお伝えしていきます。どうぞ、よろしくお願いします。
平成25年4月より、羅臼自然保護官事務所にアクティブ・レンジャー(以下AR)として着任した上村 文望(かみむら あやみ)です。
自然を学ぶ専門学校に入学し、獣害対策、野生動物の保護とリハビリ、環境教育・・・
様々な「自然」を学ぶうち、自然から離れられなくなってしまい、卒業と同時に北海道へ移住しました。
北海道の中でも、羅臼は特に森と海が深く結びつき、豊かな環境が保全されています。厳しくも美しい山々と、そこに住まう動物たちの身近にいられる事に感謝し、ひとまずは一人前のARになるべく日々奮闘中です。
どうぞ、よろしくお願いします。
さて、先日「知床半島先端部地区」に位置する観音岩に、ワシ類調査に行ってきました。
-== ====「知床半島先端部地区」とは・・・、=== = ==-
○ヒグマの高密度生息地
いつどこでヒグマに遭遇するかわかりません。
○数々の難所
何メートルもある巨大な岩、一歩でも踏み外したら海に落ちてしまいそうな岩壁や急斜面。
○自己責任
先端部地区は番屋があるのみ。夏場は人が滞在していますが、頼ることはできません。
(詳しくは、知床半島先端部地区 利用の心得「シレココ」をご覧ください。)
http://www.env.go.jp/park/shiretoko/guide/sirecoco/index.html
-== = ===================== = ==-
残雪箇所があるため、途中まではスノーシューでの雪上移動となりました。
スノーシューを脱いだ先には、長い石浜が待ち構えています。
まるで高山のガレ場のよう・・・!しかし、すぐ右手にはうねりをあげる根室海峡。
シノリガモやオオセグロカモメたちが、荒波にもまれています。
波にのまれないかと心配しながら、先に進みます。
観音岩までの間、頭上にワシがいないか、海辺にどんな鳥がいるか、浮き石に転ばないか、いろいろなものに注意をはらって進むのですが、特に注意をはらわなければならないものがあります。
それは・・・、ヒグマです。
いきなり急接近でヒグマと出会うのが最悪のパターン。こちらが先にヒグマを発見することが大切です。
大きな岩陰に潜んでいることもあるので、見通しがきかない場所では声をだして、人の存在をアピールします。
大きな足跡や、エゾシカの残滓が目につくようになったころ、出会いました。
ヒグマです。
同行していた三宅保護官が大きな声を出すと、驚いたのか崖を登っていきます。
途中こちらに一度目配せし、再び山に帰っていきました。
姿が見えなくなったとはいえ、ここはヒグマの高密度生息地。他の個体がすぐ近くにいるかもしれません。油断は禁物です。ほいー!と大声を出して進みます。観音岩に到着後、天気も悪いのですぐに相泊へ引き返しました。
今回の調査で確認できたワシは、不明一羽。オジロワシやオオワシは、おそらく繁殖地へ渡っていってしまったのでしょう。
荒波にもまれる水鳥、急峻な崖をものともしないヒグマ、野生生物の自然と一体化した姿は言葉では言い表せない感動があります。
●観音岩を望む。
ですが、判断を誤ると、生命の危機にもつながりかねない知床半島先端部地区。
再び訪れる時は、万全の準備で羅臼の大自然に失礼のないように、挑みます。
勉強の日々ではありますが、今後も羅臼での日々をAR日記で皆様にお伝えしていきます。どうぞ、よろしくお願いします。