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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

ブロッケン現象

2013年06月12日
稚内
 先日礼文島南部の桃岩歩道を歩いていた時、不思議な現象に遭遇しました。

写真1(6/7)
高台(通称ツバメ山)からみた桃岩歩道

写真1を見ると空は雲一つない快晴ですが、西海岸に面した桃岩歩道沿いには厚い霧がかかっています。海が見えなかったことでまるで2000m級の高山にいるような光景でした。
 この写真は夕方撮影したもので、この時間太陽は桃岩歩道の西側、写真で言うと左側から当たっていることになります。そこで太陽を背に東側を向いて撮影したものが写真2です。写真2では自分の影が霧の中に映し出され、その周りに虹のような光の輪が見えています。これはブロッケン現象という大気光学現象で、太陽光があること、その太陽光を背にした観測者の前方に霧や雲があること、日の出と夕暮れの時間のように太陽光に一定の角度があることなどの条件がそろった時に観測することができる珍しい現象です。


写真2(6/7)
ブロッケン現象


写真3(6/7)
桃岩歩道から利尻山を望む

 さらに写真3ではもうひとつ面白い光景を見ることができます。礼文島とお隣の利尻島の間の海が霧で覆い隠され、白い道でつながっているように見えます。また、わかりづらいですが、写真左下にわずかながらブロッケン現象を見ることもできます。

6月の礼文島は霧の発生する日が多く、霧に巻かれて前後数メートルしか見えないということは何度もありましたが、今までブロッケン現象に遭遇したことはありませんでした。ただ、礼文島は霧が発生しやすい気候なので、よく天候を観察していれば、ブロッケン現象を見ることができる機会は意外に多いのかもしれません。皆さんも礼文島にお越しの際、明るい太陽と海から立ち上ってくる霧の組み合わせに遭遇したら、太陽を背にして目の前の霧をよく観察してみてはいかがでしょうか。太陽と霧が作り出す神秘的な光景が目の前に広がっているかもしれませんよ。