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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

力自慢よ、集まれ!

2013年09月10日
東川
 大雪山の登山道は地元自治体や山岳会、パークボランティア、行政、ガイドなど山岳関係者と協働して、登山道を維持管理しています。

 9月8日久々の秋晴れとなった日曜日、
美瑛山岳会が発起人となり涸沢林道登山口から美瑛富士避難小屋下までの洗堀が酷い登山道に角材など補修に使う資材(角材1本5.5kg~7.5kg✕43本、鉄ピン✕29束)の運搬と、その資材の設置をしてきました。

 涸沢林道から美瑛富士避難小屋に上がる道は、登山者の踏圧によってここ数年で洗堀が一気に進み、
今では雨の日は「流れるプール」張りに水が勢いよく流れ落ち、ズルズルに足下が滑り、
おまけに急斜面、疲れた足では利用は避けたくなるような登山道でした。

 十勝岳連峰へのアタックは望岳台からが一般的ですが、この道を利用すれば、
オプタテシケ山、辺別岳へのアタックも少しだけ近くなります。
美瑛富士を正面に眺めながら歩けるルートなだけにもったいないですね。

【早々に売り切れた角材と鉄ピン 】

 そこで今回、美瑛山岳会がグリーンワーカー事業による荷上げ企画として資材運搬を募集し、
山岳会、パークボランティア、山の愛好者、山岳整備関係者など40名もの有志が募りました。驚きの人数です。

 登山口から5kmほど歩いたところまで、一人1本~多い方で合計4本角材を運び上げた強者もいます。頭が下がります。
 このコースは足場も悪いですが、手つかずの自然環境が残るエリアのため、背負子から伸びた角材が樹木にひっかかりなかなかスムーズに歩けません。
 足下・頭上両方で苦戦しながら、約4時間後無事に目的地着。


【黙々と運搬中】

 それから運びあげた角材を浸食でズルズルに滑る部分に鉄ピンで設置をしました。作業時間は二時間ほど。
 近自然工法の手法で角材を設置をした北海道山岳整備の岡崎哲三氏が手がけた階段は、既に現場になじみ、安全に歩きやすくなっています。
プロの手腕、恐れ入りました。

【近自然工法による角材設置 
歩きやすい上に、元の浸食された登山道が思い出せません】

 今回、補修をして少しだけ歩きやすくはなりましたが、それはごく一部。
まだまだ整備ははじまったばかりであると下山中、痛感しました(何故なら何度か滑って転んだから…)。

 協働して、お互いの長所を取り入れ、維持管理をしていく。
 今年度、7月には新得山岳会発起人によるトムラウシ短縮路の丸太運びがあり、美瑛山岳会発起人による資材運びは7月と今回の9月の2回行われました。

 単体ではマンパワー不足に悩みますが、今回40名もボランティアが集り、驚く早さで資材運搬が出来ました。
 これが来年度以降も続いていき、安全に楽しく利用ができる登山道が増えていくことを願っています。
 今回作業に携わった皆様、発起人の美瑛山岳会の皆様、お疲れさまでした。