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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

羅臼岳浸食状況調査とセイヨウオオマルハナバチ退治

2013年09月12日
羅臼
羅臼岳登山道(羅臼側)の浸食状況を見てきました。
登山道上部の浸食状況を把握しました。世界遺産登録からその知名度により浸食や複線化が見られるようになりましたが、羅臼側はウトロ側に比べて利用者が10分の1という状況でそれほど踏圧による浸食は顕著ではありません。


お花畑-岩清水分岐間

羅臼平-岩清水分岐間

上の写真は羅臼側から最短で羅臼岳に到達するお花畑-岩清水分岐ルートの浸食箇所。下の写真はウトロ側からの登山者も必ず利用する羅臼平-岩清水ルート。浸食の規模が一目瞭然です。
登山道の浸食にはいくつも要因があって、水の流れ、登山者の踏圧、それから凍結融解現象があります。これらが複合的に絡まり合うと一気に土壌の流出が起きるわけです。

凍結融解現象という言葉は聞き慣れないかと思いますが、高山が雪に閉ざされる直前の10月頃に気温がマイナスとプラスを繰り返す時期があります。凍ったり融けたりを繰り返すことで土壌の粒子が落ちてしまうわけです。さらに残雪の量が土壌の浸食と比例することが分かってきました。そして残雪の時期というのは登山者も多い初夏~夏にかけてです。雪があるということは断続的に水を供給することを意味しますので登山者が踏んでぐちゃぐちゃになった土壌を絶えず流してしまうということになります。残雪が多いシーズンだと土壌流出も進行が早いということになります。

写真を見る限り、羅臼平-岩清水分岐間の浸食はそろそろ対策が必要かもしれません。それも周囲の景観となじむような方法を考えていきたいと思います。

この日はアオノツガザクラの大群落が出迎えてくれました。今年は雪渓が遅くまで残っていた影響からか、ようやく春到来という植物も多いのかもしれません。そのアオノツガザクラの少し標高が上のハイマツ帯にはコケモモの果実が最盛期でした。夏と秋を同時に楽しめるいまの羅臼岳です。

お花畑のアオノツガザクラ

下山時にアオノツガザクラに訪花してきたセイヨウオオマルハナバチ1頭を捕獲しました。セイヨウオオマルハナバチ自体には罪はないとはいえ、特定外来の生き物は心を鬼にして捕まえます。

他に開花している植物(屏風岩-羅臼平間):メアカンキンバイ、エゾツツジ、イワギキョウ、エゾヒメクワガタ、チングルマ、チシマアザミ、チシマクモマグサ、エゾコザクラ