アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
礼文島花シーズン2013
2013年10月15日
稚内
現在礼文島では花シーズンの最後を飾るレブンイワレンゲ(ベンケイソウ科)が見ごろを迎えています。まだ雪の残る4月にフキノトウ(キク科)やミズバショウ(サトイモ科)が開花してから半年、花シーズンはあっという間に過ぎ去って行った気がしますが、今年は私が今まで経験したことがないほどたくさんの花が咲き、季節ごとに移り変わるお花畑を彩ってくれました。
今年はほとんどの種で例年と比べて同等かそれ以上の個体数を確認できましたが、その中でも以下の8種は特に印象に残りました。
○エゾノハクサンイチゲ(キンポウゲ科)
昨年はあまり元気がなかったように感じましたが、今年はそれを取り返すかのように咲き、6月の桃岩歩道を白く染めるほどでした。
○エゾヒメアマナ(ユリ科)
同時期に咲く同じユリ科のキバナノアマナと似ていることに加え、葉も花も小さく目立たないため見つけづらい花ですが、よく目を凝らすと5~6月の桃岩歩道で今までに見たことがないほどたくさん咲いていました。
○サクラソウモドキ(サクラソウ科)
うつむき加減に咲くこの花はまばらに咲いていると少し寂しそうに見えるのですが、今年はかなり多くの花を咲かせたせいか例年になく頼もしく見えました。
○バイケイソウ(ユリ科)
今年の話題性No.1はこの花です。開花するまで十年とも数十年とも言われるこの花が今年は一斉に咲きました。バイケイソウの地域個体群は戦略としてある年に一斉に花を咲かせると言われていますが、今年は礼文島だけではなく、全道的に開花したとのことです。
上段左:エゾノハクサンイチゲ(6/1 桃岩歩道)上段右:エゾヒメアマナ(6/1 桃岩歩道)
下段左:サクラソウモドキ(6/8 8時間コース)下段右:バイケイソウ(6/14 桃岩歩道)
○レブンウスユキソウ(キク科)
エーデルワイスの仲間で礼文島を代表する高山植物です。例年、島の広い範囲で確認できる花ですが、今年は特に礼文林道のウスユキソウ群生地で今まで見たことがないほどたくさん咲き、圧倒的な存在感を放っていました。群生地の斜面を白く染めるその様子はまさに「群生」でした。
○エゾカンゾウ(ユリ科)
昨年同様桃岩歩道ではあまり目立ちませんでしたが、北部江戸屋山道沿いの斜面を黄色く染めるほどの群落は見事で、地元の方も今まで見たことがないと話していました。
○リシリソウ(ユリ科)
お隣利尻島の名を冠する種ですが、利尻山ではほとんど確認することができない希少な高山植物です。また、花が小さく目立たないため、礼文島でも例年目を凝らしてよく探さないと見つけられないのですが、今年は自然に目に飛び込んでくるほどたくさん咲きました。
○ツリガネニンジン(キキョウ科)
8月、花シーズンも終盤に差し掛かってくると、7月のカラフルな色彩から一転して白や紫の花が多くなります。私にとってツリガネニンジンは短い夏の終わりを告げる花というイメージなのですが、今年の8月、ツリガネニンジンが放っていた圧倒的な存在感は花の季節はまだまだこれからだと宣言しているかのようでした。
上段左:レブンウスユキソウ(7/10 礼文林道)上段右:エゾカンゾウ(7/6 江戸屋山道)
下段左:リシリソウ(7/18 桃岩歩道) 下段右:ツリガネニンジン(8/13 桃岩歩道)
上記の他にも6月にたくさんの花を咲かせ、赤い彩りを添えるハクサンチドリ(ラン科)、ハクサンチドリと同じ時期に紫色の花を咲かせるミヤマオダマキ(キンポウゲ科)、7月の桃岩歩道をピンク色に染めるイブキトラノオ(タデ科)、礼文島最大級の多年草オオハナウド・エゾニュウ(ともにセリ科)は例年と同じく存在感を発揮してくれました。
その一方でレブンソウ(マメ科)は昨年ほどの勢いがなかったようです。昨年元気に咲きすぎて今年はエネルギーを温存したのかもしれません。
花のリレーによって季節ごとに移り変わる色彩は礼文島の魅力ですが、それに加えて年によって微妙に変化する色彩の移ろい方も大きな魅力です。今年、桃岩歩道で一面に咲くバイケイソウや江戸屋山道のエゾカンゾウの群落を見たとき、普段見慣れている場所にも関わらず、今までとは全く違った光景に見えました。それはおそらく、バイケイソウやエゾカンゾウが今まで見たことがないほど開花個体が多かったことで、その時期に咲く他の花との色彩の組み合わせが新鮮に映ったからだと思います。
年によってたくさん咲く花があったり、咲かない花があったり、また、それぞれの種で開花時期が早かったり、遅かったり、花を観察する時の空が晴れていたり、雨が降っていたり、そういった様々な条件が重なり合った偶然の結果がその時その瞬間にしか見ることができないかけがえのない色彩を生み出しているのだと思います。
珍しい白花特集(<>内は通常の色)
上段左:ハクサンチドリ<赤紫>(6/5 礼文林道)上段右:エゾエンゴサク<紫、ピンク、青など>(5/23鉄府)
下段左:アイヌタチツボスミレ<紫>(6/3 礼文林道)下段右:ツリガネニンジン<紫>(8/14 桃岩歩道)
今年はほとんどの種で例年と比べて同等かそれ以上の個体数を確認できましたが、その中でも以下の8種は特に印象に残りました。
○エゾノハクサンイチゲ(キンポウゲ科)
昨年はあまり元気がなかったように感じましたが、今年はそれを取り返すかのように咲き、6月の桃岩歩道を白く染めるほどでした。
○エゾヒメアマナ(ユリ科)
同時期に咲く同じユリ科のキバナノアマナと似ていることに加え、葉も花も小さく目立たないため見つけづらい花ですが、よく目を凝らすと5~6月の桃岩歩道で今までに見たことがないほどたくさん咲いていました。
○サクラソウモドキ(サクラソウ科)
うつむき加減に咲くこの花はまばらに咲いていると少し寂しそうに見えるのですが、今年はかなり多くの花を咲かせたせいか例年になく頼もしく見えました。
○バイケイソウ(ユリ科)
今年の話題性No.1はこの花です。開花するまで十年とも数十年とも言われるこの花が今年は一斉に咲きました。バイケイソウの地域個体群は戦略としてある年に一斉に花を咲かせると言われていますが、今年は礼文島だけではなく、全道的に開花したとのことです。
上段左:エゾノハクサンイチゲ(6/1 桃岩歩道)上段右:エゾヒメアマナ(6/1 桃岩歩道)
下段左:サクラソウモドキ(6/8 8時間コース)下段右:バイケイソウ(6/14 桃岩歩道)
○レブンウスユキソウ(キク科)
エーデルワイスの仲間で礼文島を代表する高山植物です。例年、島の広い範囲で確認できる花ですが、今年は特に礼文林道のウスユキソウ群生地で今まで見たことがないほどたくさん咲き、圧倒的な存在感を放っていました。群生地の斜面を白く染めるその様子はまさに「群生」でした。
○エゾカンゾウ(ユリ科)
昨年同様桃岩歩道ではあまり目立ちませんでしたが、北部江戸屋山道沿いの斜面を黄色く染めるほどの群落は見事で、地元の方も今まで見たことがないと話していました。
○リシリソウ(ユリ科)
お隣利尻島の名を冠する種ですが、利尻山ではほとんど確認することができない希少な高山植物です。また、花が小さく目立たないため、礼文島でも例年目を凝らしてよく探さないと見つけられないのですが、今年は自然に目に飛び込んでくるほどたくさん咲きました。
○ツリガネニンジン(キキョウ科)
8月、花シーズンも終盤に差し掛かってくると、7月のカラフルな色彩から一転して白や紫の花が多くなります。私にとってツリガネニンジンは短い夏の終わりを告げる花というイメージなのですが、今年の8月、ツリガネニンジンが放っていた圧倒的な存在感は花の季節はまだまだこれからだと宣言しているかのようでした。
上段左:レブンウスユキソウ(7/10 礼文林道)上段右:エゾカンゾウ(7/6 江戸屋山道)
下段左:リシリソウ(7/18 桃岩歩道) 下段右:ツリガネニンジン(8/13 桃岩歩道)
上記の他にも6月にたくさんの花を咲かせ、赤い彩りを添えるハクサンチドリ(ラン科)、ハクサンチドリと同じ時期に紫色の花を咲かせるミヤマオダマキ(キンポウゲ科)、7月の桃岩歩道をピンク色に染めるイブキトラノオ(タデ科)、礼文島最大級の多年草オオハナウド・エゾニュウ(ともにセリ科)は例年と同じく存在感を発揮してくれました。
その一方でレブンソウ(マメ科)は昨年ほどの勢いがなかったようです。昨年元気に咲きすぎて今年はエネルギーを温存したのかもしれません。
花のリレーによって季節ごとに移り変わる色彩は礼文島の魅力ですが、それに加えて年によって微妙に変化する色彩の移ろい方も大きな魅力です。今年、桃岩歩道で一面に咲くバイケイソウや江戸屋山道のエゾカンゾウの群落を見たとき、普段見慣れている場所にも関わらず、今までとは全く違った光景に見えました。それはおそらく、バイケイソウやエゾカンゾウが今まで見たことがないほど開花個体が多かったことで、その時期に咲く他の花との色彩の組み合わせが新鮮に映ったからだと思います。
年によってたくさん咲く花があったり、咲かない花があったり、また、それぞれの種で開花時期が早かったり、遅かったり、花を観察する時の空が晴れていたり、雨が降っていたり、そういった様々な条件が重なり合った偶然の結果がその時その瞬間にしか見ることができないかけがえのない色彩を生み出しているのだと思います。
珍しい白花特集(<>内は通常の色)
上段左:ハクサンチドリ<赤紫>(6/5 礼文林道)上段右:エゾエンゴサク<紫、ピンク、青など>(5/23鉄府)
下段左:アイヌタチツボスミレ<紫>(6/3 礼文林道)下段右:ツリガネニンジン<紫>(8/14 桃岩歩道)