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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

大雪山と極東ロシア

2014年02月10日
東川
 例年より雪が少ない東川町。路肩の雪山のボリュームがいつもより小さく、ドカ雪を待ち構えているのは私だけでしょうか?

先日、東川町の天人峡にて大雪山パークボランティアの冬期研修会が行われました。
例年、講師をお招きして、一日目は座学研修、二日目は野外研修をしています。
今年は昨年度に「北海道の山(山と渓谷社)」という山岳ガイド本を出版された伊藤健次さんをお招きしての研修となりました。
伊藤さんは大雪山はもとより、日高山脈・知床や、ロシアのアムール地方、カムチャッカなど環オホーツク圏の自然や文化、野生動物を撮られている写真家です。
今回は「大雪山と極東ロシア」をテーマに、ロシア・アムール川流域のウスリータイガの森のことを写真を交えながら聞かせて頂きました。

ウスリータイガは広葉樹と針葉樹が混交する「北のアマゾン」と呼ばれる豊潤な森で、
オホーツク海からそそぐ小さな支流がたくさんあり、その川が核となっていること。
蛇行する小さな川には魚がたくさん棲み、100年前の石狩川とよく似た風景があること。
その川の流域にはアムールトラをはじめ、ヒグマにツキノワグマ、オオヤマネコやシマフクロウ、日本では絶滅してしまったオオカミやカワウソが暮らす北と南が入り混ざった多様で人間の手が加わっていない「無造作」な森があること。
それがバランスよく食物連鎖を繰り返していていること。
そして、その恵みを受けながら暮らすウデへの人たち。

とても興味深く、タイガに魅了された伊藤さんのお話は、心に響く言葉をたくさん残してくださいました。
多種多様な動物と、人間が共存・共栄している原始の野生は一体どんなところなのでしょうか。
いつか実際にタイガへ行って、「無造作な森」の息吹を感じてみたくなりました。

【伊藤健次さんとアムールトラ 
 アムールトラの正面からの映像はとても貴重です】

北海道とオホーツク海を挟んで近いようで遠いあまり知られていないタイガの森のこと、PVの方々も何かしら心に触れてくれたらいいと思います。

研修二日目は伊藤さんとPVの皆さんで「三角点から旭岳を見よう」をテーマに美瑛町の三角点 枯柴山743.62mへ行きました。
スノーシューを履いてアニマルトラッキングしつつ、新雪の上を歩きます。
天気予報では雪マークだったので山頂からの展望は諦めていましたが、うっすらと旭岳を見ることができました。
すごくラッキーです。今年の夏もあの山でたくさん行事がありますね。出来るだけ多く皆さんと活動したいと思っています。

【三角点 枯柴山743.62mで集合写真
 バックにはう~っすら旭岳が見えます】

冬も折り返し地点。日が長くなり、春は近いです。
この季節になると「今日も巣穴でヒグマの赤ちゃんは生まれたかな?」と、妄想するのが日課になります。
近距離では出会いたくないけれど、この山にいる存在感は感じていたい。
アムールの動物界の頂点はこの先もアムールトラであって欲しいし、北海道の動物界の頂点は100年後もずっとヒグマであって欲しい。
豊かな自然が残りますように。

あっという間の二日間でした。
PVの皆さん、お疲れさまでした。今年の夏も大雪山でたくさんの活躍をお願いします。
講師の伊藤健次さん、貴重なお話をありがとうございました。いつかカムチャッカのお話も聞かせてくださいね。

寒さを乗り越えたら花園が待っています。
ご挨拶遅れましたが、今年もよろしくお願いします。

【振り返るとカラフルだった!!】