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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

Silent Spring(マルハナバチに限る)

2014年05月22日
上士幌

春先の重要な仕事の一つに、セイヨウオオマルハナバチの駆除があります。春は越冬した女王蜂しか飛んでいない時期(5月中まで)で、防除の効果が大きいと言われています。
今のチャンスを逃してはならない!ということで、士幌町内を舞台に、士幌町役場、JA、JA生産者、北海道十勝総合振興局、パークボランティアのみなさんと環境省の総勢20名で防除活動を行いました。

ちなみに、セイヨウオオマルハナバチ(以下セイヨウ)は、元々トマトの受粉をしてもらうために外国から日本に持ち込まれた、いわゆる外来種です。現在では農家のビニルハウスから出られないような工夫がなされていますが、導入当時は徹底されていなかったそうです。
 このハチが一度野外に出てしまうと、在来のマルハナバチの生息環境を奪ってしまうことや、植物の盗蜜(花の横から穴を開けて蜜を吸う)を行うことにより、在来植物の花粉媒介にも深刻な影響を与えることが報告されています。この問題に対応するため、セイヨウオオマルハナバチは外来種の中でも特に注意が必要な「特定外来生物」に指定されています。


セイヨウオオマルハナバチ 趣旨説明の様子

さて、みんなで町内のお花畑に繰り出して、セイヨウ捕獲を目指して出発します。
昨年は1時間30分の間に322頭ものセイヨウを捕獲したのです。
きっと今年も沢山いるはず・・・・。






セイヨウを探すパークボランティアさん 

ところが、探せど探せど、セイヨウはおろか、在来のマルハナバチもほとんど見当たりません・・
いったい今年はどうしたのでしょうか!?
今年も頑張って探したのですが、なんと捕獲頭数(1頭、2頭と数えます)は9頭!!事前の調査で捕獲した頭数(35頭)を含めても44頭しか捕獲することが出来ませんでした。

この結果から、単純にセイヨウが減ったとも言えるのですが、在来のマルハナバチの姿もほとんど見られないため、今年はマルハナバチ全体の活性が非常に低いようです。原因はよくは分からないのですが、気温の影響や開花している花の時期(今年は去年満開だったツツジが終わっていました)が考えられそうです。

捕獲数が奮わなかったため、参加した方からも「今年は物足りない」といった声も漏れていましたが、セイヨウが少ないこと自体は良いことですし、大雪山の麓にある士幌町のセイヨウが少ないことで、高山帯への移入の可能性も減ることが予想されます。

今年のセイヨウ防除はスロースタートとなりましたが、これから増えてくることも考えられるため、今後も注意していきたいと思います。