北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

裾合平にてテンサーの試験施工

2014年10月09日
東川
8月後半、裾合平の木道脇の洗堀している所に「テンサー」を試験設置しました。

【施工前】
テンサーとは…河川工事の土留めとして使用される強化プラスチック網の資材。
軽いので山岳地帯でも運搬がラクなうえに丈夫で、設置する場所によって高さ・幅の形状変更ができ、中に敷く椰子マットからは植生復元も見込める、という優れたもので、最近では河川に留まらず利尻山など登山道の補修材としても出番が増えてきています。
設置前はクニャクニャで、これがあの「大雪山」というハードな環境で保つのか…と少々不安を覚えるか弱さです。

今回、北海道山岳整備の岡崎氏に来て頂いて、大雪山のパークボランティア(以下:PV)の方々と実際にテンサーを設置してみました。

テンサーの設置の仕方は
①設置する場所を平らに均す。
②テンサーを筒状に丸めて連結。中に椰子マットを敷く。
③テンサーの中に、周辺の大中小の石をつめ、充填する。
所要時間、30分ほど。

【施工過程】
なんと簡単・・・!!!
PVの皆さんも私も、はじめてのテンサー施工だったので不安はありましたが、施工がしやすく、裾合平は浮き石がそこら中に転がっているのですぐに資材調達ができてラクチン。
そして浮き石があるということは土砂が常時流れている証拠。だからテンサーに土砂が溜まるのが想像しやすい!
設置していて、参加された皆さんもテンサーへの手応えを感じたはずです。
ただ、土砂が流れているということは、上がその分だけ崩れているということ。喜べないですね。

そして設置して一ヵ月後、どうなっているか見に行ってみました。

【施工前後】
少しずつですが…上流からの土砂がテンサーに溜まっているのがわかります。
順調に土砂が溜まってくれれば、洗堀を止め、木道の傾きを抑えたり、いずれ溜まった土砂から植物が芽を出すこともあるかもしれません。
いずれこのテンサーが効いて、裾合平の洗堀抑止になれば、と願っています。
そのためにもモニタリング&メンテナンスはセットで続けていきます。

見た目は近自然ではありませんが、今後の大雪山の登山道補修に活躍するかもしれないテンサー。今回は6基設置しています。
来夏、裾合平を歩くときはテンサーとそこに溜まる土砂を見てみてください。

哀愁漂う秋も過ぎ去り、大雪山は早くも冬が訪れました。
昨日は今シーズン初の雪虫を見ました。早く白い粉が舞ってこないか、楽しみでなりません。