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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

知床国立公園、五十にして天命を知るシンポジウム開催

2014年11月11日
ウトロ
先日、ついに町の中にも雪が降りました。いまだタイヤ交換をしておらず焦りを覚える知床国立公園・ウトロの高橋です。

今年で知床は国立公園に指定されて50周年を迎えます。これを記念して知床の未来を考えるシンポジウムが、去る11月1日、知床自然センターにて、環境省釧路自然環境事務所・斜里町・羅臼町・公益財団法人知床財団の4者の共催で開かれました。

知床の豊かな自然を守りつつ、いまだ一部の人にしか知られていない数々の魅力を引き出し、今後の発展の可能性をさぐる、充実の一日となりました。



開会にあたる基調講演では、北海道テレビのニュース番組・イチオシ!の「ミキオジャーナル」でおなじみ、写真家・ビデオジャーナリストの阿部幹雄さんに、「南極で考えた知床のこと」と題して、お話しいただきました。

南極観測隊に参加された際に体験した、氷と風だけの過酷な世界。内陸部では微生物ですら存在できない南極大陸であっても、沿岸ではペンギンやクジラ、アザラシ等、豊富な海の恵みによって生命が育まれている。阿部さんはそんな光景に、知床との共通点――サケ・マスや流氷が海から運んでくる栄養によって、ヒグマをはじめとした陸の動植物が生かされている――を重ね見たそうです。

また、知床財団事務局次長・寺山元さんからは、「知床の魅力と可能性」と題して、知床のバックカントリー(=人による管理がされていない山域)の素晴らしさと、その将来的な利用の可能性について語っていただきました。

世界各国を巡った経験を持つ寺山さんが考える、ヒマラヤやパタゴニアといった世界に名だたるエリアと比較した際に見えてくる、知床ならではの良さとは――それは「狭い地域に要素が密集していること=アクセスの良さ」であるとして、里・山・海へ、知床の多彩な表情を10日間歩いて体験する「知床グレートトラバース」構想(仮)を提案されています(個人的に非常に胸躍るものがあります)。

そして個性豊かなパネリストの皆さんによるシンポジウム本編。

「知床・羅臼の海に生きてきた漁師の暮らしと歴史、人に焦点を当てたガイド企画」
「本場イギリスのフットパス(自然歩道)に学ぶ、知床のトレイルづくりの可能性」
「希少海鳥ケイマフリや、狩りをするオジロワシなど、よりディープな海のウォッチングツアー」
等々、視点が変わればこれほど様々な「知床」があるのだなあ、と感じ入ることしきりでした。


(上)羅臼町の市場見学や地元産魚介類の調理を交えた婚活イベント企画(後藤菜生子さん / 株式会社 知床らうすリンクル)
(左下)イギリス・コッツウォルズ特別自然美観地域を巡るフットパスの紹介(秋葉圭太さん / 公益財団法人 知床財団)
(右下)知床半島ウトロ側の断崖に営巣する希少鳥類ケイマフリ(松永暁道自然保護官 / 環境省)

そうそう、忘れてはならないのが、ある意味今回最も注目され、垂涎の的(文字通り)であったお昼ご飯です!!!


(上)エゾシカ肉やマイカ等々、地元食材を使ったフレンチビュッフェ(の一部)
(下)フリーズドライ食品「極食」シリーズより「猿払産ほたてのさしみ」他

釧路「イオマンテ」のシェフ・舟崎一馬さんによる「地元食材を使ったフレンチビュッフェ」と、基調講演をされた阿部幹雄さんが開発に携わり、北海道産の食材(知床産の鮭やホッケが!)を使った、南極観測隊や宇宙ステーションでも食べられている絶品フリーズドライ食品「極食」の試食販売コーナー、いずれも言わずもがなの大盛況だったようです。