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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

国立公園指定80周年記念 大雪山国立公園登山道保全講習会

2014年11月19日
上士幌
大雪山国立公園指定80周年を機に、近自然工法による登山道の維持管理について広く知ってもらうため、11月17日、鹿追町民ホールにおいて登山道保全講習会を開催しました。
講師に(有)北海道山岳整備の岡崎氏を迎え、登山道関係者のみならず興味を持って下たれた一般の方を含め、約20名が参加して下さいました。
登山者による踏圧や、降雨や融雪の流水による洗掘によって、登山道の拡幅が発生し、深い浸食、ぬかるみの問題にもつながります。雨が降ると登山道は川のようになり、とくに植生のない登山道からは土砂が流失していきます。近自然工法は、この流量を減らし、流速を弱め、かつ、景観を損なわないように極力自然資源を用いた整備工法として登山道整備に欠かせない工法と考えられます。
今回は冬も近く現場での実習はできませんでしたが、座学ならではのこととして、多くの施工例をスライドで学び、施工前、施工後、その後の経年変化を比較しながら、工法の有効性やメンテナンスの大切さなどを理解することができました。激しい雨の日に、登山道がどのように川と化しているのかも知ることができました。

ところで、登山道の拡幅、浸食を防ぐために、登山者にできることは何でしょうか。北海道地方環境事務所策定の「大雪山における登山の心得」から抜粋して紹介します。
・高山帯の植生および特殊地形(構造土など)はダメージを受けやすいため、登山道以外の場所へは立ち入らないようにしましょう。
・登山用ストックを利用する際は、自然へのダメージが軽減されるように先端部に保護用キャップを取り付けるようにしましょう。また、登山道以外につかないように留意しましょう。
・融雪時期や降雨時では流水に加え、登山者の踏圧の影響で登山道が崩壊しやすくなること、および大人数での登山はさらに影響があることを理解してこういう時期の登山はなるべく控えましょう。
・登山道内に融雪水や降雨水が流れている場所においても、登山道外の自然(植生や地形)を守るため、登山道内を歩けるようにロングスパッツ等を準備しましょう。

もし詳しく知りたい方がおられましたら、下記URLをご覧下さい。
http://www.env.go.jp/park/daisetsu/data/files/daisetsu01.pdf



スライドを見ながら学ぶ受講の様子