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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

ヤマと雪の養生

2014年11月27日
ウトロ
まだ積雪こそありませんが、朝晩は随分と冷え込むようになりました。地球温暖化防止のため、灯油ストーブは使わない主義の知床国立公園・ウトロの高橋(足指の感覚が無い)です。

11月10日に知床峠(知床横断道路)が冬期閉鎖され、これまで車で30分だった峠の向こうの羅臼町へは、ぐるりと半島基部を迂回して3時間かかるようになりました。近くて遠いとは正にこのこと......そして今月末11月30日には、岩尾別地区も同様に閉鎖されます。
「岩尾別に入れなくなるその前に」ということで、岩尾別登山口から羅臼岳へ向かいました。



今期最後の山仕事は、今年一年、登山者の皆さんのプライバシーを守ってくれた携帯トイレブースの後片付けと冬期養生です。ブースが設置されている銀冷水付近では積雪が数cmほど。日陰は地面や岩がツルツルに凍りついていて、転びそうになります。



便器を取り外したり、風雪吹き込み防止の板を取り付けたり......キンキンに冷えた金属に触れていると、手袋をしているとはいえ徐々に指の感覚が無くなり、地味に時間がかかります。諸々の作業を終え、来春再び、お互い無事で相見えんことを願って、そっと扉を閉じました。

日に日に寒さが増し、いよいよ長い冬が始まります。昔何かの本で読んだ、「自然は春・夏・秋と季節の恵みを与えてくれるが、冬は何も与えてはくれない。ただ圧倒的に美しい」という一文を思い出します。



流氷が海を覆い、空を舞うオオワシ・オジロワシが影を落とす――確かに美しい。しかし今思えば、冬が美しいだけというのは嘘ですね。具体的には......そんな迫力の景色の中でする、スキー!温泉!!エゾシカ猟!!!これですよ!!!!!

美しいだけではない、ゴキゲンな知床の冬が、もうそこまで迫っています。