北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

World Wetlands Day ~February 2, 2015~

2015年02月12日
洞爺湖 松沢 智子

世界湿地の日企画、第3弾!

バトンは支笏湖から洞爺湖へ・・・

---------------------------------------------------------------------------------------------------------------

世界湿地の日とは、1971年2月2日にイランのラムサールという街で締結された「ラムサール条約」を記念して、毎年2月2日を「世界湿地の日 World Wetlands Day (WWD)」とした記念日です。ラムサール条約の目的である、湿地の恩恵や価値に目を向け、その維持と賢明な利用を達成するため、世界中で啓発イベントが行われています。

 

そこで一昨年に引き続き、ウトナイ湖、支笏湖、洞爺湖、クッチャロ湖、サロベツ原野など、北海道の代表的な湿地を含む国立公園等を所管するアクティブレンジャーで、AR日記のリレー企画を行います。

---------------------------------------------------------------------------------------------------------------


 洞爺湖は今から11万年前の巨大噴火によってできたカルデラ湖です。周囲52キロと、カルデラ湖としては日本で3番目に大きく、最大深度が180メートルあり支笏湖とともに北限の不凍湖として知られています。


 

 洞爺湖の中央には、4~5万年前の噴火でできた4つの島々(総称:中島)があり、針葉樹・広葉樹が交じりあった森が広がっています。そこでは、エゾシカやエゾリス、天然記念物のクマゲラ、ノビタキ、カワセミなどが生息しています。


 洞爺湖周辺は、北側では農業が行われ、南側には温泉街、そして今もなお生きている火山・有珠山があり、年間多くの観光客が訪れます。大自然、そして観光資源にとても恵まれた場所です。

 もちろん、越冬や繁殖のために様々な水鳥も飛んできます。

 

 では洞爺湖の水の中に目を向けてみましょう!



さすが、水質第2位とあってとてもきれいです。

ここには多数の魚、水生生物が生息しています。

そんな中に、ある時、天敵が現れました・・・

その名は、ウチダザリガニ。

 アメリカから昭和初期に食用として摩周湖に持ち込まれ、洞爺湖では2005年に初めて発見されました。雑食で環境への適応力が強く、水草を切断し他の魚の産卵場所が減ってしまったり、病気をうつされたり、、、と元々いた生物にとっては、とても住みにくい環境になってしまうんです。

 このままでは洞爺湖の水の中が変わってしまう!・・・ということで、地元NPO団体や学生等が積極的に駆除活動を行っています。


 ラムサール条約の基本理念である「ウェットランドのワイズユース」=「生物多様性に富んだ重要な湿地を世界各国が保全し、湿地の恵みを賢明に利用していく。」

 洞爺湖の恵みを利用していくには、洞爺湖の保全を1番に考えなくてはなりません。その一つが、ウチダザリガニ撲滅!

 でも決して、ウチダザリガニが悪者なわけでもないんです。ウチダザリガニにはウチダザリガニの棲むべき場所がちゃんとある。人間の身勝手な行動こそが、洞爺湖の生態系を壊し、ウチダザリガニを悪者にしてしまったんだと思います。

 持ち込むのは簡単でも、一度入ったものをゼロにするのはとても大変なことです。生き物を悪者にしないためにも、持ち込まない・放さない・持ち出さない。

 その場所独自の豊かな自然をいつまでも大切にしていきたいですね!



 さて、ウトナイ湖、支笏湖、洞爺湖と北海道南側を回っていた湿地リレーのバトンですが、次回は一気に400キロ、利尻礼文サロベツ国立公園まで北上します!