アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
World Wetlands Day ~February 2, 2015~
2015年02月06日今年も"World Wetlands Day"
世界湿地の日がやってきましたね。
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世界湿地の日とは、1971年2月2日にイランのラムサールという街で締結された「ラムサール条約」を記念して、毎年2月2日を「世界湿地の日 World Wetlands Day (WWD)」とした記念日です。ラムサール条約の目的である、湿地の恩恵や価値に目を向け、その維持と賢明な利用を達成するため、世界中で啓発イベントが行われています。
そこで一昨年に引き続き、ウトナイ湖、支笏湖、洞爺湖、クッチャロ湖、サロベツ原野など、北海道の代表的な湿地を含む国立公園等を所管するアクティブレンジャーで、AR日記のリレー企画を行います。
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世界湿地の日リレー企画、第2弾!
ウトナイ湖の平さんからバトンを受け取ったのは、支笏湖の畠山です。
支笏湖は4万年前にとてつもなく大きな噴火によって生まれたカルデラ湖です。その後の火山活動により上から見るとひょうたん型やまゆ型と表される形をしています。
周囲は40.3kmで面積78.76 km²。水深363m(平均265.4m)と深く、全国で2番目に多い、20.9 km²もの水を貯水しています。
周辺には針広混合林が広がり、多くの昆虫・動植物が暮らしています。
まず、皆さんは湿地(Wetlands)ってどんなところだと想像しますか?
年中湿っているところ...
湿原......沼......どろどろ
長靴でずぶずぶ歩く......
私にはこんなイメージが真っ先に浮かびました。
そんな湿地のイメージと支笏湖は大きくかけ離れていますよね。
でも、実は支笏湖は立派な湿地なのです。
『ラムサール条約湿地分類法』によると湿地は、たくさんのタイプに区分され、湖沼、沢、河川、低潮時における水深が6メートルを超えない海域なども含まれます。
支笏湖がカルデラ湖であるように、湿地の成り立ちというものは様々あります。
水田などの人工的につくられた水域であっても、そこに生息する生きものと同じ目線にたってみると、そこは大切な生息の場。重要な湿地なのです。
もともと、ラムサール条約は水鳥とその生息場所である湿地を守るための条約ですが、その役割は地球に暮らす、全ての生きものに影響しています。
水は全ての生命と密接につながり、共有している大切なものだからです。
ここで水について、ちょっと考えてみます......
水は住処となり水草、プランクトン、昆虫、魚たちが食物連鎖を繰り広げている。
更にそれを食べるために利用するのは、鳥たちに限らない。
動物たち、私たちも同じ。そして利用の際に残ったもの、排泄物はバクテリアなどに分解され、土を肥やし、地上の植物たちが成長していく。
水と全ての生きものはさまざまなかたちで関係をもち、つながっている......
そして、ひとつの生きものが、水とこんな関係を結ぶ場所が一カ所とは限らないだろうな......
実は支笏湖は現在、ラムサール条約に登録されていません。
しかし、たとえ登録されていない湿地であっても大切に守らなくてはいならないのはやっぱり同じです。
昨年末、支笏湖にはある嬉しいニュースが舞い込んできました。
「公共用水域水質測定」の2013年の結果が発表されたのです。
全国で調査された河川2560、湖沼189、海域590の水域のなかで、支笏湖が最も良い水質だとされたのです。
支笏湖が日本一の水質とされるのは、これで7年連続となりました!
このきれいな水をいつまでも大切にしていくことは、私たちを含め、全ての生きものを大切にしていくことです。
そして喜ばしいことに、この調査のなかで2番目に良い水質とされたのが、洞爺湖です。
今年は支笏洞爺国立公園、仲良くワンツーフィニッシュ。
つぎはその洞爺湖にバトンをつなぎますね!
松沢ARよろしくお願いしま~す!