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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

ホッとした、三十三曲り

2015年06月12日
大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

久しぶりのAR日記となりました、東川AR渡邉です。

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天人峡の三十三曲り歩道は傾斜50~60℃の急峻な地形につづら折りに歩道があり、ジグザグと歩いていくと一時間ほどで尾根に取りつき、その先には現在唯一、羽衣の滝を見ることが出来る「滝見台」があります。悪天時にはトムラウシ山からのエスケープ口として下りてきたり、クワウンナイ沢に登った後の下山道となる、重要な役目を担う歩道となっています。

昨年、積雪の影響で歩道に設置された木製階段が転覆し、歩道にもクラックが多数入っていたり、倒木が複数あり通行に危険があるため、旭川山岳会・環境省・北海道・東川町・林野庁の連名でボランティアによる補修の呼びかけをし、北海道内の山岳団体や山岳ガイド、パークボランティア等38名に集って頂いて、クラックの埋め立てやササ刈り、看板補修、木製階段の据え直し補修をして、安全に通行が出来るようになりました。

そこで先日、一冬超えたあと補修箇所がどうなっているか、新たな危険箇所がないか調査に行ってきました。

調査の結果、致命的なクラックや倒木もなく、難儀した木製階段もしっかり残っていて、しかも階段は去年より見た目も馴染んで歩きやすくなっていました。

去年の8月、湿度が高くムシムシしていたあの日、階段に詰めるための石を背負子で背負い何往復もしたことや、ササ刈り、看板の補修、持っている技術や経験を総動員して施工したもらった階段など、昨年、補修に参加して頂いた方々の尽力のおかげで今年もこの道を歩くことが出来るんだと感謝と同時に、胸に留めていこう思いました。

歩道のチェックが済んだら尾根まで上がり、滝見台へ。前日の雨と雪解けで水量が増し豪快な水しぶきを上げる羽衣の滝が見れました。天女はあの大きな滝を滑りおりて遊んでいるのかな。大雪山は広く、多様な顔があり、自然は儚く、強いなあと思いました。

来週、とうとう山開きとなりました。

お花畑に蝶が爛々と舞う姿、残雪とハイマツのコントラスト、そこで昼寝するヒグマ。心地よい風が吹く大雪山をありありを思い出し、数え切れないくらい感じていることですが改めて、「なんとここはなんとイイところなんだろう」、初夏の大雪山に思いを馳せるのです。

去年私たちが補修した登山道はどうなっているのでしょうか。今年は新たな登山道補修資材も導入の予定です。お楽しみに。

冬に野外活動で出し過ぎたアドレナリンを夏は抑え気味にしたいと思います。