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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

山を想う日

2015年08月18日
大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

7月28日の日記で紹介した山の日制定記念イベントの講演会とトレッキングツアーを8月9,10日に東川町で開催しました。

初日の講演会のゲストは登山家 山野井泰史さん、モデル KIKIさん。お二人の講演を聞きに、遠方は釧路市や倶知安町など北海道内各地より150名ほどの来場がありました。

講演会の第一部はゲストのこれまで印象的だった登山のお話、山のどういったことが魅力なのか、山への臨み方、山への想いなどをお話頂きました。

KIKIさんは講演会の前日に十勝岳連峰をテント泊で縦走をしてきたフレッシュなお話や、ヒマラヤのメラピーク(6500m)を仲間とキャラバンを組んで登ったときのエピソードを美しい写真を交えて紹介して頂きました。

透明感の代名詞とも言えるKIKIさんですが、実際にお会いしたらこんがり日焼けしていて、ワイルドな印象。気さくに色々お話して頂き、「仕事のことより山に行くことばかり考えている」と仰っていて、誠実に山が好きなことが伝わり、美しくも、笑顔がとっても可愛い素敵な方でした。

山野井さんはヒマラヤや南米パタゴニア、グリーンランドの山に登ったときのエピソードや、次に登る山を決めるときの選別の仕方、出来るだけ「カッコよく登るため」の登るライン、登り方、装備についての説明など、具体的にお話して頂きました。

世界最強と呼ばれる山野井さんは寡黙な方だと思っていましたが、実際は目がキラキラした物腰の柔らかい雰囲気の方で、時にはジョークも飛び出し、とても人柄がいい、素晴らしい方でした。

第二部は大雪山ガイドMountainFlow青木倫子さんを交えて3人のトークセッション。

山好きな3人の和やかな雰囲気の中、この会場でしか聞くことが出来ないゲストの秘話や本音なども聞くことができ、共感したり、感動したり、とても贅沢な講演会となりました。

山野井さん、KIKIさんに山のお話をして頂くとき、お二人とも表情が生き生きとしていて、今、まぶたにはきっと大好きな山の景色が浮かんでいるんだろうなあ、と想像でき、こちらまでワクワクし、KIKIさんは「登山のない人生は考えられない」、山野井さんは「山に登るために生きているに近い」と山の日ゲストにぴったりなことを仰っいました。

講演会中、切々とゲストの方々の山が本当に好きな気持ちが伝わってきて、ご来場頂いた方々にも素敵な時間を過ごして頂けたのではないでしょうか。私は今後の山行の励みになるお言葉もたくさん聞くことができ、もっと山に登りたいと思いました。岸田自然保護官と二人で春からゲストを考案し、準備をしてきましたが、このお二人に来て頂いて良かった、と心から思えた講演会となりました。

翌日は東川エコツーリズム推進協議会主催の旭岳~裾合平一周トレッキングツアー。登山が初体験という方もいましたが、大塚友記憲さんのガイドで旭岳の成り立ち、植物や登山道についての解説などをして頂き、中岳温泉では天然温泉の足湯も体験でき、全員無事に行程通りを歩くことが出来ました。

当日は曇空でしたが、少しの晴れ間に表大雪の山々が一望できたとき、参加者のみなさん、とてもイイ表情をしていました。

きっと「この先に行ってみたい、向こうに見えるあの山に登ってみたい」と思っているんじゃないかなあ、と思うと、スタッフ側としてこんなに嬉しいことはありません。これを機に、美しい大雪山に、たくさん登ってもらいたいなぁと思います。

思い出深く、色々経験させてもらえた二日間となりました。ご来場&ご参加して頂いた皆さん、ありがとうございました。