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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

2015年いろんな人と登山道整備してきました

2015年11月20日
上川 大久保 智子

こんにちは、上川自然保護官事務所の大久保です。

時折みせる大雪山の真っ白く自然の猛威を漂わせている貫禄にしびれている今日この頃。麓から大雪山の山肌が、茶色から緑から赤や黄色、そして灰色から白色へと巡るめく季節の移ろいを見られるのは、何年住んでも感慨深いものがあります。

大雪山の代名詞、お花畑と広大な風景は、自然環境の変化や利用状況などにより、残念ながら近年は登山道の浸食が著しくなってきています。どうにかしなくちゃならないけどどうしたら良いのかと、毎年関係者一同で悩みつつ、できることから始めようとすこしずつ手を入れ始め、今年度は、多くの大雪山ファンのご協力を得て、登山道整備を行ってきました。

上川管内で行ってきた今年度の登山道整備は、

◆6月23日朝陽山パノラマ台登山道整備講習会(参加者21名)

【作業実施結果】階段工およそ40基設置

路線の最も傾斜がきつい箇所でそこを通る人は、1回はずるりと滑る箇所に講習を受けながらシーズン始めの肩慣らしで階段工を設置しました。もちろんみんなでズリズリ滑り苦戦しながらの作業でしたが、設置完了後の下山時はよそ見ができるほど楽で歩きやすい道になりました。

◆7月27,28日雲の平地区登山道整備(参加者のべ23名)

【作業実施結果】木階段及び土留工59基、植生保護土留工6基、土のう階段6基設置

【一般登山者等による荷上げ】椰子殻土嚢210袋、鉄杭300本、板90枚

雪解け水雨水などの流水により砂地の登山道の浸食が年々悪化し、えぐれが酷くなってきたことから、えぐれ箇所に土嚢袋、土留工を設置しました。

◆8月1日大雪高原温泉沼巡りコース(参加者21名)

【作業実施結果】180㎝角材39本、90㎝25本

緑沼付近まで木道の資材を荷上げしました。後日、沼巡りコースのヒグマ監視員達が登山道の木道の荒廃箇所及びぬかるみ箇所に木道を設置してくれました。荷上げ後は大学沼でヒグマの観察をしました。ちょうど奥の斜面に親御熊が現れ、草を食んだり、じゃれ合ったりと無邪気に自然の中で戯れる姿を見られる環境を大切にしたいと思い、力仕事の後にすっかり癒やされ充足感に満たされました。

◆8月29,30日北海岳クジャク岩登山道補修(参加者のべ27名)

【作業実施結果】木階段及び土留工32基、土嚢階段及び土留工11基、導流工6基、流路補強8箇所設置

【一般登山者等による荷上げ】椰子殻土嚢袋130袋

流水による浸食が発達し、人がすっぽり埋まるくらい深くなった箇所に水を逃がす導流工と人が歩きやすいように階段工を設置しました。

黒岳を拠点にした登山道整備では、必要な資材上げを一般登山者にボランティア荷上げを呼びかけたところ、多くの方が快く協力して下さり、次から次へと手が伸びてきて、あっという間に黒岳山頂や黒岳石室まで運び終えました。時には資材を準備していたところから手伝ってくれたり、運ぶものはないかと声をかけてくれる時もありました。小学生から、山ガール山ボーイと呼ばれるおしゃれな恰好をしている若い人たち、何十年も通って下さる大先輩、いろんな世代の登山者の大雪山への熱い思いが強く感じることができました。自分の荷物の他に登山道整備備品まで持って頂き、ただただ感謝する一方ですが、運んでいるみなさん、運び終わったみなさんの顔が、笑みと充足感で溢れていて輝いていました。

その人たちからバトンを渡された関係者一同、身が引き締まる思いで登山道整備を行いました。まだ不十分な箇所もありますが、巡視の度に手を入れてみなさんの思いを無駄にしないよう、大雪山らしい景観を崩さないようにしていきたいとおもいます。

来年、雪解け後の整備経過をみるという楽しみが増えました。

ご協力頂いた皆様、本当にありがとうございました。