アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
知床・羅臼の海岸線ゴミ回収調査報告
2015年12月04日11月24日(火)に全道で記録的な雪が舞い降りた日を境に、知床・羅臼でも雪を目にしない日が、終わりを告げました。今回のアクティブレンジャー日記は、そんな羅臼にやってきて1年目、降り積もる雪にめげまいと奮闘中の宮奈がお送りいたします。
私が勤めております羅臼自然保護官事務所では、毎年10月から11月にかけて、1週間に1回の頻度で羅臼から知床岬方面へ向かう海岸線において、ゴミ回収調査を実施しています。知床の陸と海をつなぐ海岸線がどのような状況にあるのか、今年度の調査状況とその結果を紹介させていただきます。
調査は大きく分けて2区間で行っています。両区間とも世界自然遺産地域に含まれています。
1区間目は、国立公園の境目、ルサフィールドハウスから道路が途切れる相泊までの国道沿いです。ここは羅臼昆布を浜で干しているなど、漁業活動が活発に行われており、瀬石温泉や相泊温泉といった観光スポットもあるため、シーズン中は人の出入りが多い場所です。
2区間目は、相泊から海岸線を歩いて2時間ほどで到着する観音岩までの区間です。知床岬へ続くトレッキングコースの一部で、道路はなく、年間を通して漁業関係者以外の出入りが少ない場所です。ただ、サケ・マスのシーズンには釣り人が多く訪れる場所であり、昆布番屋も数多く残っていることから、漁業利用も活発に行われいます。
今回は、1区間目の調査について紹介していきます。
調査地の様子(左手に見えるのがルサフィールドハウス)
世界自然遺産地域。その名に恥じぬよう、ゴミはほとんど見られないはず。しかし、実際に調査をしてみると...
あ・・・
うーん・・・
おお・・・
思っていたよりもかなりのゴミが放置されていました。
どのくらいかといいますと・・・
このぐらいです。
多い時で200ℓを越えるゴミが一度の調査で回収されました。
(実際、1度で回収できるゴミの量は限りがあるため、回収しきれないゴミも多々あります。)
最も多く回収されたゴミは缶やペットボトルでした。そのほとんどが清涼飲料水の入っていたものです。次いで多かったのが発砲スチロールでした。これは主に漁業由来のゴミではないかと思われます。また量こそ少ないのですが、数が多かったのが煙草の吸殻です。道路脇に放置されていることが多く、缶に詰めて放置されていることもありました。
ゴミを回収していて気が付いたことは、多く回収されるゴミのほとんどが、持ち帰ることのできるゴミだということです。また、ゴミの量や劣化の状態から、誤って落としてしまったというより、特に気にもせずゴミを放置している様子が伺えました。
私たちから出るゴミは、現代においてそのほとんどが自然に発生しえないものです。自然の中に放置してしまえば、それを壊す原因になるのも当然と言ってもよいものです。
知床の陸と海、自然の営みをつなぐ海岸線が、これ以上ゴミで溢れないように、ゴミが減っていくように、知床を利用する全ての方々に今一度、ゴミに対して正しい認識をもつことが求められていると思います。
ゴミも人が作り出したものですから、人が責任をもって扱う必要があることを、私たちが意識して自然と向き合うことが大切なのではないでしょうか。