北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

オオワシの放鳥に立ち会いました

2015年12月17日
利尻礼文サロベツ国立公園 高澤 和大

 こんにちは。

 稚内自然保護官事務所の高澤です。

 

 アクティブレンジャー(AR)は自然保護官の補佐として、国立公園関連の業務のほかに、野生生物に関わる業務も行っています。少し前の話になりますが、昨年の夏に稚内自然保護官事務所へ「衰弱したオオワシがいる」という通報が入りました。オオワシは国内希少野生動植物種に指定されている鳥で、そういった種がケガや病気をしている場合に対応するのも自然保護官事務所の役目の一つです。連絡を受けた稚内の自然保護官とARが出動し個体を保護。稚内から各地の自然保護官事務所等を繋ぐリレー搬送が行われ、獣医の待つ苫小牧・ウトナイ湖野生鳥獣保護センターへと収容されました。ひどく衰弱していたものの幸いなことにケガはなく、札幌の円山動物園において野生復帰に向けたトレーニングがこれまで行われてきました。

 

昨年の夏、通報を受けた直後に確認した姿。羽がボロボロでした

 

 そして時は流れて本年の12月、いよいよ保護された個体を野生に返すタイミングの到来です。すでに新聞等で報道されました通り宗谷管内の某所にて放鳥は無事に完了。関係者が見守る中、薄暮の空へ力強く羽ばたいていきました。

 

放鳥の瞬間

 

関係者へ挨拶するように大きく旋回し、森へ消えていきました

 

 放鳥後、視界に留まっていたのはほんの十数秒程度でしたが、昨年の夏に見た人の手で捕まってしまうほど弱っていた面影はすでになく、日本最大級の猛禽としての凛々しい姿をしっかりと披露してくれました。1年と数ヶ月の間育ててくれた円山動物園をはじめとして、多くの方々の努力や協力によって紡がれた若いオオワシの物語。これからも末永く続いていってほしいと心から願います。