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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

May the ice be with you.

2016年03月07日
ウトロ 高橋 優太

 今年は暖冬と聞いていますがここ知床ウトロも然り。例年に比べて降雪が少なく、晴天の日が続いています。昨年のドカ雪(ウトロの観測史上最高となる積雪200cmを記録)を思えば、生活しやすさの点では暖冬はありがたいのですが、重大な問題が一つ―流氷が来ないッ!!!来ないと困る知床国立公園・ウトロの高橋です。

 

沖合に見える流氷

来そうで来ない流氷(画像中央)

 

 網走地方気象台が発表した今年の「流氷接岸初日」は2月22日と、1959年の統計開始以来最も遅いものとなりました。例年ならば1月下旬には接岸している印象があるのですが、今年はウトロの海が流氷に覆われたのは2月に入ってからでした。

 

流氷に覆われたウトロ近海

流氷にガッツリ覆われたウトロ近海

 

 なかなか来ない流氷に対し、来なくていいのにきっちり来るのがそう、暴風雪です。今年も2月29日・3月1日と道東沿岸を大型の低気圧が通過して、最大瞬間風速30mの吹雪&1m先すら見えないホワイトアウト、追突事故多発、道路閉鎖、そして陸の孤島――。

 

閉鎖された道路

閉鎖されたウトロ唯一の出入口

 

 とは言うものの、もはや冬の低気圧で道東が大変なことになるのは毎年恒例なので、良いのか悪いのかすっかり慣れてしまいました。

 そんな暴風雪で外に出られない時に何をしているのかというと......

 

スタイロフォームを削る高橋

「オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!!!」

 

遠目から見たスタイロフォームを削る高橋

(スタイロフォームを削っています)

 

スタイロフォームを削る笠井AR

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」

 

遠目から見たスタイロフォームを削る笠井AR

(スタイロフォームを削っています)

 

と、主にスタイロフォーム(※発泡スチロールに似た建築資材)を削っています。

 

 削るとどうなるのか?上の私、高橋が削っているものは海鳥ケイマフリの巣の模型に、下の笠井ARが削っているものは知床半島のジオラマになります。これは当ウトロ自然保護官事務所も参加する「知床ウトロ海域環境保全協議会」の活動の一環で、ウトロの海についての展示物を制作しているところなのです!4月20日、新装オープンする知床自然センターで公開されますので、乞うご期待!

 

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 ここ数日で異様に気温が上がったところに雨まで降り、もの凄い勢いで雪解けが進みました。折角やってきた流氷も、早々に海の藻屑となってしまうのでは......と一抹の寂しさを覚えますがしかし、流氷が解け、海中に植物プランクトンが解き放たれることは、知床の豊かな生態系を育む最初のステップでもあります。流氷は消えてなくなるのではなく、姿形を変え、知床に生きる動植物達の胸の中に......May the ice be with you.

 

 知床の新たな一年がまた、始まろうとしています。