アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
去るもの、そして通過するもの
2016年03月16日
釧路湿原
みなさまこんにちは、釧路湿原自然保護官事務所のアクティブレンジャー平川です
北海道のなかでも春が遅いとされる釧路湿原国立公園でも、3月中旬を過ぎ、すこしずつ日が長くなってきました。気温も上昇して急速に雪解けが始まり、いままで雪で一面真っ白だった湿原もパッチワーク状に地面や草などが見えてきました。
春は卒業や入学、就職、転勤など、なにかと人が動く季節ですが、野生動物達にも春の移動が始まっています。
冬の間は釧路湿原野生生物保護センターの2階の窓から、周辺の樹にとまっているオオワシが見られることがたまにあるのですが、本日は窓のすぐ近くの樹にとまり大きな体をみせてくれました。このオオワシも冬鳥なので、まもなく繁殖地であるアムール川下流域、サハリンやカムチャッカに向かって移動を開始するため4月にはいなくなってしまいます。
雪解けが進んだ野生生物保護センター前の池(薄氷となり水面が透けてみえています)
そのほか、釧路湿原を渡りの途中の休息場所として通過していく鳥がいます。数日前から上空を飛翔しているのが目撃されていましたが、本日、釧路湿原周辺の畑地の中にいるのを確認しました。ガンの仲間であるヒシクイは宮城県の伊豆沼など本州で越冬したのち、道東では釧路湿原などを経由して繁殖地のカムチャッカ半島などまで移動します。道東では3月から5月にかけて池沼や農地などで見ることができます。
この時期、ヒシクイが来ると季節が冬から春にかわっていくんだなと気づかされる人も多いでしょう。農業者にとって季節の変わりを告げる鳥となっています。両種ともに充分に休息と栄養を取り、無事に繁殖地へたどり着けるよう願っています。