アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
夏の知床峠、目に映るのは外来種
2016年08月03日ついにやってきました8月!夏真っ盛り!
皆さん、夏休みのご予定はしっかりと組まれているでしょうか?
暑苦しい都会の夏とは異なり、知床・羅臼の夏は晴れていても薄らと雲がかかっていることが多く、涼しさを感じる日々が続いております。
観光目的で沢山の方が訪れるこの時期、ほとんどの方が知床峠に足を運びます。知床峠からは知床最高峰である羅臼岳を目前にすることができ、日によっては大雲海や国後島を一望することができます。さらに、夜は手軽に星空を味わえる絶好の観光スポットとなっています。
羅臼岳と雲海
夜の知床峠
この知床峠へ向かう道、知床横断道路では意外と沢山の花が咲いています。エゾノリュウキンカやチシマノキンバイソウ、チシマフウロ、ミヤマキンポゲ、ミズバショウなどです。ウトロ側では湿地が道路沿いにあり、ミズバショウの群落が見られる箇所もあります。
しかし、それらの花々より多く目にするのが外来種です。フランスギクをはじめ、セイヨウノコギリソウ、コウリンタンポポ、ヒトフサニワゼキショウなどが花の季節になると道路沿いや法面一面に花を咲かせます。
法面を覆うフランスギク
今年はヒトフサニワゼキショウの防除を実施しましたが、個体数が非常に多く、根絶が難しい状況です。
左)ヒトフサニワゼキショウの花 右)防除した袋いっぱいのヒトフサニワゼキショウ
アクティブレンジャー2人では人員不足と思いますが、知床横断道路は歩行者用の道が非常に狭いため、安全を確保することが難しいだけでなく、最近では知床横断道でヒグマが頻繁に確認されていることもあり、人を集めて防除活動を行うことが難しい状況です。できる範囲で地道に優先順位をつけながら防除を続けていくしかありません。
防除活動中に現れたヒグマ
注意)大変危険ですので、写真の様にヒグマと遭遇しても車両を停車しないでください。
羅臼岳や知床連山の登山道等に外来種が大量に入り込む様な事態は生じていませんが、海岸線など、人の利用が多い場所では外来種の侵入が多数、確認されています。
知床の自然が次世代に受け継がれていくためにも、一人一人の行動が自然にどれだけ影響を与えるのか、考え、責任をもって利用していただけたらと思います。
靴の裏をきちんと洗うことで、外来種の拡散、侵入の予防になります。できるところから心掛けていただければ幸いです。
※余談ですが、知床横断道路の知床峠から羅臼湖入口間においてスミレやシロスミレ、ヒオウギアヤメ、
ホザキシモツケ等の在来種が確認されています。本来、この周辺はハイマツ、ダケカンバが群落を形成して
おり、林床はササが繁茂している地帯であることから、彼らが生育するにはあまり好ましい環境とは思えま
せん。もしかすると、彼らも外来種(地域移入種)なのかもしれません。
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生態系被害防止外来種リスト(環境省)↓
https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/files/gairai_panf_a4.pdf
環境省が実施している防除活動↓