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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

下サロベツ木道自然観察会を開催しました

2016年08月05日
利尻礼文サロベツ国立公園 青山留美子

道北で「暑い」と言ったら全国の方々に怒られる気温かもしれませんが、

「暑くて辛い」と感じる毎日が続いている、稚内の青山です。


そんな中、青空が広がるも蒸し暑い8月1日、「下サロベツ木道自然観察会」を行いました。

サロベツ湿原は豊富町・幌延町にまたがっており、豊富町側を「上サロベツ」、幌延町側を「下サロベツ」と呼んでいます。各町に一つずつ自然ふれあい施設があり、今回は下サロベツ(幌延町字下沼)にある「幌延ビジターセンター」にて行いました。



サロベツ湿原では、雪解け後まもなくから花を咲かせる植物が見られますが、大方がとても小さい植物です。エゾカンゾウなどの大きめの花が見られる初夏を越えても、当たり年のポスターの写真などをイメージして来られた方には、物足りなく感じる事が多いようで、

「何もない」という言葉をいつの時期でもよく耳にします。

もっとゆっくり見ると大きな花以外の花が見つけられ、もっとじっくり見ると湿原という過酷な環境で生きているたくましさを知る事ができるのですが、なかなか伝わっていません。

更に、花を見つけ足を止めても、写真を撮り、名前を知ることで満足している方が多いように感じていました。


そこで、もっとゆっくりじっくり見て湿原を楽しんで欲しいという思いから、地元に住むパークボランティアさんと観察会を企画しました。

木道を歩いて見つけた動植物に、自分で名前をつけ、それをまとめて自分だけの「サロベツ図鑑」を作ろうというものです。

名前を付けるためにゆっくり観察し、図鑑を作るためにもじっくり観察することになります。夏休みなので、子どもの参加をイメージしていましたが、実際は小学生1名、大人11名の参加だったため、大人には何かと抵抗がある内容かもしれないと不安がありました。

しかし、実際に外に出て観察が始まると、木道の入口で早速立ち止まり、観察したり、スケッチしたり、考えたりする姿が見られました。

木道に座り込む人、考えながら歩いていて危うくぶつかりそうになる人、言葉を紡ぎ出そうとしている人など、普段の木道で見られる光景とは明らかに違いました。

50分弱の時間でしたが、それぞれがゆっくりじっくりと木道からの観察を楽しんでいるようでした。


観察後、休憩と図鑑の仕上げをしてから、それぞれ一押しの名前を発表してもらいました。

下記にあげたものは、ほんの一部です。


「確かに~」と大きく頷いたり、「なるほど~」と感心したり、「私はこう付けたよ」と違う発想が次々飛び出し、大変盛り上がりました。

最後に、全員でもう一度木道へ行き、発表した名前はどれのどこを見てつけたのかを確認して歩きました。実物を見て、更に様々な名前が誕生していました。


普段、木道をゆっくり歩いているつもりでも、以外と何も見えていないという事に気づくことができた観察会でした。また、多くの人と歩くことで、違う発見と発想を知り、新たな要素を自分の中に取り入れられるおもしろさもわかりました。

参加者からも、「名前を考える事が、脳が活性化して良い」や、「写真を撮らずに書くことが良かった」、「個性あふれるネーミングが面白い」、「ゆっくり観察できてよかった」など、始めに抱いていた不安を全て払拭してくれる感想を頂きました。

そして観察の途中で参加者の誰かが言った「宝探しみたい」との声が最高に嬉しかったです。


サロベツ湿原にお越しの皆様、ゆっくりじっくり「宝探し」をしてみませんか?