アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
利尻山トイレデ-イベント
2016年09月09日楽しい登山のはずがトイレの問題でイヤな思いをしたこと、ありませんか?
● トイレに行きたいがないのでヤブに入って用を足した
● トイレのことがあるので水を控えてから山に入ったら熱中症になりかけた
● 登山道で例の臭気が漂っていた
● ティッシュが散乱していた・・・等々。
北海道の利尻山には登山道沿いに全くトイレがなかったこともあり、かつてはそのような悩みを多く抱え先人たちはその解決のために先駆的に尽力されました。その結果、今では登山道沿いにトイレブースが設けられ、携帯トイレを持参した登山者が気持ちよく利用しています。必要な水をしっかり飲み、しっかし出し、健康で快適な登山を楽しんでいます。臭気も散乱ティッシュもほとんどなくなり全国でもトップレベルのマナーの良い登山者の比率が高くなっています。
毎年9月の第一日曜日に北海道山のトイレを考える会が主催する「山のトイレデ-」は今ある仕組みが有効に機能しているかの監査と改善の機会を得るものです。どんな問題があるか、仕組みを変更する必要があるかなどの情報を得ます。初めて利尻登山をされる方への啓蒙活動や山の清掃活動も行いました。山のトイレを考える会が中心となって、地元企業や住民、利尻礼文サロベツ国立公園パークボランティア、観光ガイド、関係行政機関ら総勢16名が参加しました。活動は参加者の特技や好みによって大きく3つのグループに分かれて行う計画でした。①登山道の麓で「携帯トイレアンケート」と啓蒙活動 ②6.5合目までの登山道清掃とティッシュ痕調査 ③2ヶ所の麓から6.5合目から山頂までの登山道清掃とティッシュ痕調査。 今泉は6.5合目までのグループリーダーとして参加しました。山頂まで行くためには島に前泊して朝5時からの登山開始が必要ですが、6.5合目までなら朝の稚内からのフェリーで来島すれば日帰りでの参加も可能です。
残念ながら当日は天気予報が外れて朝から時々雨模様。開催可否判断が非常に難しい状態でしたが5時時点で大丈夫だったので催行が決まりました。総勢15名のうち、今泉のグループの5人は11時集合でしたがスタート前から結構な雨降り。無事故で効果的な活動を行うため予定変更しました。アンケートは中止し6.5合目まで行かずに4合目で折り返すことにしました。山頂付近は幸い雨も小降りで予定通りの活動が行われました。
まずはゴミ探し、ゴミ拾いです。乗船券・プリントアウトした地図・日程表などの紙ゴミ、ポリ袋や飲み物のペットボトル、金属棒など結構多くのゴミを回収下山しました。また未だにトイレブース以外の場所で用を足す人がおりその跡が散見されました。今泉は何度も利尻山に登っていますがこのようなゴミを見つけることはできず、飴の小袋くらいでした。登山者の心理をよく考えると捨てそうな場所、用を足しそうな場所が想定できるそうです。十数回もこの活動に参加されている方々はさすがです。
悪天候のため体力消耗を自覚し山頂まで行かずに途中で引き返す好判断をされた参加者も何名からっしゃいました。そのお陰で全員ケガなく活動を終えることができました。そのようなことが気軽に言えて下山できる雰囲気であることもこの活動が長年継続され参加者が絶えない理由のひとつかもしれません。
(ティッシュ痕跡を見つけて記録・回収する参加者。赤丸がティッシュ痕)
(作業終了後の一枚:左/山頂グループ、右/6.5合目グループ)