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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

シマフクロウに棲み家の森を戻そう

2017年02月09日
上士幌 上村 哲也

大雪山国立公園の美しい景観を保全するほか、希少な野生生物を保護することも私たちの大切な仕事です。

中でもシマフクロウは、巣となる大木があった森は切り開かれ、エサの魚が住んでいた川はダムなどで分断され、生息地を奪われて一時は80羽ほどまで数を減らしてきました。

環境省では1980年代から、研究者の協力を得て保護増殖活動を続け、2016年には140羽ほどまでに回復しましたが、まだまだ危機を脱したとはいえません。

保護増殖活動の柱は、シマフクロウの大きな体に見合う巣箱の設置と、池に魚を放つ給餌です。

この日は、十勝のとある森の中にある池に30kg分の魚を運びました。背負子にコンテナを括り付け厚手のビニール袋を広げて魚を入れます。魚を活かす水も背負うのでずしりと肩に重さがかかります。数にすると100匹以上でしょうか。二人で二往復。シマフクロウたちには、お腹を満たし、寒さが厳しくとも繁殖の大切な季節を乗り切ってほしいものです。

背負子で運搬オショロコマを放流保護増殖活動のもうひとつの柱は巣箱掛けですが、こちらの写真は設置していた木が倒れて一部が壊れてしまった巣箱を、ひがし大雪自然館での展示に利用しようと加工中のものです。壊れた部分を切り取って、断熱材が施されていることなどを断面展示します。出入口に残るシマフクロウの爪痕なども感じることができます。完成間近、乞うご期待です。