アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
海ワシとの付き合い方
2017年04月08日新年度を迎え、早くも知床での生活が3年目に突入しました。1年1年があっという間に過ぎ去っていきまね。気持ちを新たに、知床と楽しくお付き合いしていきたいと思います。
さて皆さん、こちらの2枚の写真の生き物をご存知でしょうか。
そう、オジロワシ(上)とオオワシ(下)です!
彼らを見に知床を訪れる方も多いのではないのでしょうか。
(豆知識:羅臼町の鳥はオジロワシです。)
国内最大の海ワシ(オジロワシ、オオワシ)の越冬地とされる知床。どのくらい多いのかと言うと...
この通りです。
街中をお散歩していてふと上を見上げると、木に海ワシが鈴なりになっております。この写真の中だけでもオジロワシが4羽、オオワシが14羽います。
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...とまあ、こんな感じで海ワシの紹介が過去にもされていたように思います。
今年も沢山の海ワシが遥かオホーツク海の彼方から、ここ、知床にやってきました。多い時で1日に300羽以上の海ワシを記録しています。(羅臼自然保護官事務所では毎年海ワシの越冬期に個体数のカウントを行っています。昨年は1日のカウントが500羽を越えることもありました。)
海ワシが空や流氷上を舞う姿を見に、多くの観光客が知床・羅臼を訪れます。翼を広げると2mを越える海ワシが目の前で、それも1羽2羽ではなく数十羽が同時に空を舞う姿は確かに圧巻です。
沢山の海ワシに囲まれながら冬を過ごす。これはかなり贅沢なことではないだろうか。そんな思いが頭をよぎる中、今年は一つ懸念することがありました。
こんな記事を新聞等で見たことはありませんか。
そう、高病原性鳥インフルエンザ(以後、鳥インフル)です。
今年度は全国的に多数、野鳥や家禽が鳥インフルにかかり、大きな問題になりました。現在も、鳥たちが渡りの時期を迎えており、拡散するおそれがあります。
オジロワシ、オオワシは鳥インフルに感受性が高く、死亡野鳥等調査で検出しやすいと考えられる種とされており、一ヶ所に集中すると感染のリスクが高まってしまいます。
※「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル簡易版」より抜粋
このことを踏まえ、羅臼自然保護官事務所では関係団体に注意喚起をし、傷病鳥発生時の対応などについて話し合いを行いました。
幸い、今シーズンは何事もなく海ワシたちは北へと渡っていっております。
知床を訪れる海ワシがこれからも安全に生活できるように、関わる全ての方々と肩を寄せ合いながら、海ワシとの付き合い方について考えていくことが必要だと思います。
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高病原性鳥インフルエンザに関する情報(環境省)