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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

自然再生事業地で、ヒメシャクナゲに包まれる

2018年06月06日
利尻礼文サロベツ国立公園 青山留美子

薄着になる前に、顔と手だけが日に焼けてきて困っている、稚内の青山です。

531日、パークボランティアさんと共に、自然再生事業地へモニタリングを兼ねて巡視に行ってきました。

サロベツで環境省が行っている自然再生事業地は3箇所ありますが、どれも普段は立ち入ることができない場所となっています。調査等で入るための木道はつけられていますが、一人が通れる幅しかなく、バランスを崩すとすぐ湿原に落ちてしまうため、バランス感覚が求められる場所です。


そんな木道の状態を確認することと、自然再生事業地の現状を見ること、そしてその道中では、初夏を迎えつつあるサロベツ湿原を楽しむことを目的に行ってきました。

だだっ広い中を延々と木道が続きます。この木道の先では、2000年始めまでの30数年間、泥炭の採掘をしていました。当時、採掘に使われていた浚渫船(しゅんせつせん)という船が、サロベツ湿原センター横に展示されています。

掘った跡地には、製品として使われなかった残りが戻されました。戻されたあと、順調に植生が回復している所もあれば、回復せず何十年も植物が生えていない裸地の場所もあります。

環境省では、その裸地の場所に植生が定着するお手伝いをしています。

写真の中央あたりが、裸地の場所にネットを敷いている様子です。


少しずつですが、着実に植生が増えています。最初はミカヅキグサ(上の写真で灰色に見える所は全てこの植物の枯れた状態です)ばかりですが、その間から様々な種類が出てきています。

また、掘った跡がそのまま残り、開水面として残っている場所も多くあります。

遠くでカモ類やアオサギ、近くではツメナガセキレイが舞い降りる姿が確認できたり、水際を好む植物などを確認したり、自然に活用されている様子を垣間見ることができました。


泥炭採掘跡地の自然再生事業地は、大きく手を加えていくのではなく、これからも変遷を見守っていきたいと思う場所です。

更にこの周辺は、ミズゴケを中心とした高層湿原の植生を楽しめる場所でもあります。

この日は、ヒメシャクナゲが見頃でした。


小さな花が、あちらこちらに咲いていてピンクの絨毯になっている様は圧巻です。

ミズゴケの中に、ツルコケモモの実が残っているのも見つけました。

細い木道でバランスを保ちながら頑張って歩いた、ご褒美をもらえた気分になりました。


高層湿原だけではなく、中間湿原部分も見応えがあります。この日は、咲く一歩手前のエゾカンゾウを見つけたり、ワタスゲの穂や、行きでは閉じていたタチヤマリンドウが帰りには開いている所を見ることができたりと、道中は楽しい発見がいっぱいです。


普段入れない調査用木道は、サロベツ湿原の歴史、課題、取り組み、湿原植物、鳥などなど、様々な要素を見る、知る、感じることができる素敵な場所です。

行ってみたくなった方、いませんか?

普段入れない場所だからと、がっかりする必要はありません!

10月まで毎週1度、ガイドの案内で行く「バックヤードツアー」が開催中だからです。

私たちが今回行った、泥炭採掘跡地を見に行けます。

詳しくは、下記をご覧下さい。

http://sarobetsu.or.jp/swc/topics/950/

サロベツを満喫できること、間違いなしです。

少数定員ですので、要確認と要予約でお願いします。

湿原では、次の主役たちがスタンバイ中です。皆様のお越しをお待ちしております!