北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

知床・羅臼の身近?な植物1

2018年07月06日
羅臼 宮奈光一郎

 7月、知床・羅臼はこの時期天候が落ち着くことが多いのですが、今年は停滞前線が北海道に伸びてきてしまい、毎日雨が降っております。まるで梅雨の様です。そんな天気の悪い日でも山に登ろうとする人を見かけると、シーズンなのだなと思います。
※羅臼岳等を利用される際は、ヒグマに遭遇することも踏まえ、天候判断は厳しく行っていただけたらと思います。

 さて、先月、シーズンを迎える前に知床岬まで現地状況確認のため歩いて行ってまいりました。今回はその途中で出会った植物を一つご紹介します。身近とは言い難いですがご覧ください。

全体的に淡い緑色をしていて白い5つに裂けた花をつけるカマヤリソウ(2018年6月撮影)

 こちら、カマヤリソウです。ビャクダン科カナビキソウ属という何とも聞き慣れないグループに分けられている植物です。海岸の風当たりが強い風衝地で確認されています。(今のところ)羅臼で見るには相泊から10km以上海岸を歩いていかなければなりません。

細長く槍先の様な葉身と2枚の苞葉という独特の印象を受ける葉を付けるカマヤリソウ(2018年6月撮影)

 白く小さな花(花弁はなく、白く見えるのはガクです)をぽつぽつと咲かせ、細長く独特の印象を受ける形をした葉っぱをつけています。毎年現地確認の時期(6月中旬)が開花の時期と重なるため、ここ数年連続で花を見ることができております。

他の植物に囲われ、確認が難しいカマヤリソウ(2018年6月撮影)

 背丈は大きくても20cm程度。他の植物に覆われてしまいそうです。見落としやすいこの植物を毎年見付けるのが現地確認の一つの楽しみになりつつあります。

切り立った岩壁をトラバースする職員。足下には深い溝があり、海水で充ち満ちている。(2018年6月撮影)

 知床岬に向かう道のりは、厳しい行程ではありますが海岸特有の植物を沢山見つけることができます。(個人的には2007年に日本新産種として報告されたチシマコゴメグサを一目見たいところです。)自然が生み出した造形美を背後に見る植物の姿は本当に素晴らしいです。この夏、見に行かれては如何でしょうか。

※知床岬を含む知床半島先端部地区は利用を推進している箇所ではありません。

 そのため、登山道等は一切設置されておりませんのでご注意ください。

※カマヤリソウは礼文島やアポイ岳などでも見ることができます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 知床先端部地区をご利用の方はこちらをご覧ください。

  シレココ

   →https://www.env.go.jp/park/shiretoko/guide/sirecoco/

  ルサフィールドハウス

   →http://shiretoko-whc.jp/rfh/