アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
たまには夕方に
2018年08月06日青い空、白い雲、蝉の声が絶えず聞こえうちわを仰ぐ日々。そんな夏の風物詩は好きだけれど暑いのは嫌いな白石です。こんにちは。
さて、知床・ウトロ側では7月16日の海の日から7月31日まで「海鳥WEEK」が開催されていました。
海鳥について知ってほしいと知床ウトロ海域環境保全協議会という組織が中心となって行っているものです。
知床にはケイマフリをはじめ多くの海鳥が生息し、重要な繁殖地となっています。それらを守り持続的に海鳥や海の環境を保全していくために、知床の海や観光に関わる様々な関係者が一丸となって取り組んでいます。
海鳥WEEK中は様々なイベントがウトロ全体で行われており、なかでも専門家による海鳥の解説を聞きながら海鳥を観察する【海鳥トーク】はとても面白いです。ホテルや観光船で行われていますので今年聞けてない!という方はぜひ来年聞いてみてください。
さて、今回は海鳥WEEKイベントの一つである「海鳥サンセットクルーズ」に参加してきました。
日暮れの時間帯に小型船で出港し、夕日を背に海鳥を観察するというイベントです。専門家の解説もあります。前田一歩園財団様からの補助を受け、高校生以下無料という破格のクルーズです。大人の方も3000円で乗れますよ!
夕方の5時半に船に乗り込み、いざ海へゆかん!
船が出てすぐにケイマフリが姿を見せてくれました。意外にも港のすぐ近くにいます。彼らが主食とするイカナゴがいるからです。イカナゴが好むとされる砂地の海底が港付近にあり、イカナゴが集まっているのです。
ケイマフリの赤い足を見ると幸福が訪れると言われています
☆ケイマフリとは☆
良く目立つ赤い足に黒い身体、目の周りの白い模様が特徴の海鳥。名前の由来はアイヌ語の「ケマ=足、フレ=赤い」から。エサは海に潜り、ペンギンのように泳いで獲ります。大きさはハトぐらいで、国RDB絶滅危惧Ⅱ類に指定されている、希少な鳥類です。岩の割れ目や隙間を利用して繁殖し、知床でも繁殖が確認されていますがごく僅かです。実は謎多き海鳥の一種で生態がよく分かっていません。
しばらく船を進めるとオジロワシの姿が!親子でしょうか。希少なオジロワシを見ることが出来てラッキーですが、海鳥たちにとってはアンラッキーです。繁殖シーズンを終え、雛が次々と孵化しこれからという時にオジロワシが雛を捕食してしまうのです。海鳥にとってヒグマとワシ類は天敵。その天敵たちが近づかない市街に海鳥たちが押し寄せ糞被害などが出ている、そう解説するのは海鳥専門家の福田さん。
こうしたイベントを通し、海鳥にふれる機会を増やして関心を持ってもらうことが大切だと、普及・啓発運動に力を入れています。
獲物を狙うオジロワシたち
そうこうしているうちに日が傾いてきました。雲がまた良い雰囲気を作っています。
海鳥が夕日を背に飛ぶ姿は絵になりますね。クルーズに乗っていた方々も一斉にカメラのシャッターを切ります。
いやぁ良いものを見ました。お客さんも大満足です。海鳥WEEK限定のイベントですので逃した方はぜひ来年参加してみてください。きっといい思い出になりますよ。
知床ウトロ海域環境保全協議会のホームページは以下のURLからアクセスできます。
https://www.facebook.com/shiretoko.keimafuri
協議会では「海のハンドブック」を販売し、その売り上げを海鳥の普及・啓発活動や、ケイマフリの保全活動に活用しています。
知床遺産センターや観光船で購入できます。スタンプラリーを集めるとプレゼントがもらえますよ!
来年も同じく海の日から7月末まで海鳥WEEKが開催されますのでその時期に知床に来てみてはいかがでしょうか。