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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

知床・羅臼の身近な植物4

2018年08月08日
羅臼 宮奈光一郎

 あっつい!7月のはじめ雨が多かった羅臼は、最終週に入りいきなり暑くなりました。せっかく涼しいところに来たのにと愚痴を零す方々を見かけるほどです。(そんなことを思ってこの記事を書いていたら急に涼しさが戻ってきました。8月に入り羅臼らしいひんやりとした夏が戻ってきています。最高気温は高くても25℃ほど。もはや秋とも思えてしまう日々が続いております。)

 そんな暑い夏の日にはあまり出会いたくない植物がいます。

青い空の下、濃い緑色の葉をまとわりつけたハイマツの枝とその後ろに広がるハイマツ帯(2018年7月撮影)

 それがこちらの植物、皆さんご存知ハイマツです。トゲがあるとか刺激物を出すといったことはありません。問題はハイマツの周辺は非常に熱がこもるということです。ハイマツ帯の中に入るととにかく暑いのです。まだ風が冷たい季節はいいのですが、今の時期はどうにも避けたい気持ちが出てしまいます。

 そんな夏には避けたいハイマツですが、他の生きものにとっては住み心地の良い環境を提供しているようです。今回はそんなハイマツの下で見られる植物を少しご紹介します。

ハイマツ帯の下で白い小さな丸い花束の様に花をつけるイソツツジ(2018年7月撮影)

 こちらはイソツツジ。幾つもの白い小さな花を玉の様につける植物です。ハイマツに覆われて少し暗くなった林内でひときわ目立つ植物です。

密に伸びたハイマツの根元でピンク色をした三角形の灯籠の様な形をした2対の花をつけるリンネソウ(2018年7月撮影)

 写真左側に薄ピンク色をした二輪の花が目に付くでしょうか。こちらリンネソウです。「リンネ」はラテン語による二名法の発案者とされる、カール・フォン・リンネ(植物学者・瑞)を記念したものだそうです。ハイマツの下に密生して生え小さなお花畑をつくることもあり、一瞬、ハイマツ帯がオアシスに見えます。

茶色い枯れたハイマツの葉が敷き詰められた地面の上で花を咲かせるミヤマフタバラン(2018年8月撮影)

 最後はこちら。ミヤマフタバランです。少し見えにくいと思いますが、写真右手に三角形に近い形の葉っぱが2枚対になってついている植物です。夏のハイマツ下でひっそりと生えているランの一種です。見付けたときは宝物を見付けたような気持ちになります。

ハイマツに囲われてトンネルの様になった尾根筋(2018年7月撮影)

 ハイマツの下に潜ると吹いていた風をほとんど感じなくなります。そのためかハイマツの中はいつも暖かい(暑い)です。気象が変化しやすい山の上ではハイマツが地面を覆うことで比較的安定した環境が生み出され、様々な動植物が生きていけるのではないでしょうか。

 山に登られた時は是非、ハイマツの有るところと無いところの違いを肌で感じてみてください。

※イソツツジはすでに花期を終えていますが、リンネソウ、ミヤマフタバランは今が花期の盛りです。

-おまけ-

淡い茶色がかかった緑色したミヤマフタバランの花(2018年8月撮影)

ミヤマフタバランの花