北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

シロに染まるまであと少し

2018年09月28日
羅臼 宮奈光一郎

 9月も終わりに近付き麓の木々も日に日に色を濃くしています。読書の秋、食欲の秋と言いますが、日本の北東端に位置する知床ではすでにシロい季節を思わせる寒い日が訪れています。

 およそ半年間シロに覆われる知床。今それに抗うかのように山々が色付き初めております。

眼下に広がる根室海峡を背に橙、紅、黄色の草紅葉に覆われる高山帯のお花畑が眼前に広がる。(2018年9月撮影) 羅臼温泉登山道(羅臼町側から羅臼岳へ向かう登山道)にあるお花畑は草紅葉に覆われておりました。橙色のタカネトウウチソウや濃い赤に染まるチングルマが目立ちます。

ダケカンバが黄色く色付き、山頂を覆う緑色のハイマツとの境目、森林限界の境界線がはっきりと見て取れる。(2018年9月撮影) 三ツ峰(写真左手前のピーク)周辺ではダケカンバが色付いたことで森林限界の境界線を容易に見て取ることができました。

紅く染まったチングルマの絨毯の上にヒョロッとさきの尖った胞子嚢穂を出したタカネヒカゲノカズラ(2018年9月撮影) 足下の紅い絨毯の上にはシラタマノキやコケモモ、チングルマの実がなり、この時期に胞子嚢穂を出すタカネヒカゲノカズラもひょっこりと頭を出しておりました。胞子嚢穂を突くと胞子が飛びだし、冷たい風に乗って拡散していきます。

高さ10mを越える岩壁が立ち並ぶ屏風岩も紅葉に包まれ初めていた。(2018年9月撮影) 羅臼温泉登山道ビュースポットの一つ屏風岩も秋色に染まっておりました。こちらは後1週間ほどでピークを迎えるでしょうか。天気の良い日、紅葉に包まれた屏風岩を青い海に浮かぶ国後島をバックに見る景色は圧巻です。

岩の上に落ちていた食べかけのハイマツの実(2019年9月撮影) 岩の上に転がっていた誰かの落とし物。彩りの季節、その背後にまだ遠くにありながらも存在感を示すシロい季節を私たち以上に感じ取っている生きものたち。必死に生き残るための準備をしているのでしょう。

 知床の秋はとっても短く、後1ヶ月もすれば知床横断道路も閉まりすっかり冬支度が済んでしまいます。本当にアッ・・・と言っている間に終わってしまうので、是非計画的にこの美しい知床を味わいにきてください。

------------------------------------------------

  ※1標高が高い所では気温が10℃に満たない時間が長くなってきております。
    ご利用の際は防寒対策を忘れないようにご注意ください。

  ※2羅臼温泉登山道は羅臼岳頂上まで登り7時間、下り5時間ほどを要します。
    お勧めの登山道ですが十分計画をした上でのご利用をお願いいたします。