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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

緑岳の入山状況

2018年11月16日
上川 大久保 智子

 こんにちは、上川の大久保です。

こちら上川は、穏やかな晩秋のおかげで、大雪山がゆっくりと白銀に移り変わって行く姿が楽しめます。

今日(11/16)、層雲峡からみた黒岳

 夏山シーズンも終わり、今シーズンを振り返りつつ、巡視でみたもの、調査したものをとりまとめたり整理したりしているところです。それらを来年度以降の登山道の整備や維持管理などのための情報として活かしていく予定です。

 夏の調査といえば、大雪山国立公園では平成27年度より各登山口に登山者カウンターやセンサーカメラを設置し、入山状況を調査しています。上川管内では、緑岳、愛山渓、黒岳、銀泉台に熱感知式登山者カウンターを設置しています。自然状況による入山者の増減、もしくは、利用状況による環境の変化や維持管理の整備の必要があるかどうかなど、大雪山の基礎資料として蓄積し、そのデータをもとにいろいろなことがわかるかもしれません。

 まだ設置には試行錯誤していますが、4年目に入りだいぶデータが安定してきました。

エコカウンターは熱感知式のセンサーで、人の体温を検知し、通行者数をカウントするのですが、センサーの前で立ち止まったり、のぞき込んだりするとセンサーが反応して、カウントが連打されたり、日に当たった笹が風に揺れてもカウントされたりといった問題もあります。

 こんなこともありました。

題して「エコカウンターの災難」

 登山道ではエコカウンターのような人工物はひときわ目立ち、大いに気になるものです。そこで、場所によっては目立たないように工夫して設置しています。

 さて、前置きが長くなりましたが、今年の緑岳登山口の高原温泉の登山者カウンターの結果を見てみましょう。下記が日別利用者数のグラフです。

 7月下旬のお花見シーズン、9月中下旬の紅葉シーズンで賑わっていることがわかります。一日ごとの入山者数と下山者数にはほとんど差がないのですが、9月23日前後だけは入山者より下山者がグッと多くなっています。

 どうしてでしょうか?

 それは、この時期にマイカー規制が行われていて、9月21日~24日には、大雪湖から赤岳の登山口の銀泉台、緑岳の登山口の高原温泉まで、両方でマイカー規制の通行が規制され、代わりに大雪湖の駐車場からシャトルバスがそれぞれ運行するからです。

通常、高原温泉までのバスの運行はなく、車で行くしかないので高原温泉から入山した登山者はまた高原温泉に戻る必要があります。しかし、この時期限定で、例えば銀泉台から登山して高原温泉へ下山する縦走が気軽にできるのです。

9月23日前後の日に下山者が多かったのは、銀泉台赤岳方面から多くの縦走者が下山したということです。

 このデータからは、銀泉台から高原温泉へ向かうルートは、登山者が多く、割と安心して歩けること、逆コースの高原温泉から銀泉台は、比較的空いていることがわかりました。今後データを蓄積していけば、より快適な登山に役立つ情報を提供できるかもしれません。

 また、グラフをぱっと見て思ったのは、1日の入山者数はそれほど多くないということです。大雪山の中でも高山植物が多く、日に日に咲き変わる多種多様で群落を広げる緑岳とその周辺。高山植物を見るのが毎年の楽しみですが、緑岳が意外と穴場というのがわかりました。

 今後も登山者カウンターを設置していきますので、目立っていても見かけたときには、好奇心を抑えて横目で確認するだけにしてください。

【夏の緑岳周辺の写真】来年も多くの高山植物を見られますように★鬼が笑ってるかな。

おまけ

11月7日に層雲峡で見かけました。急がしちゃったかな?