北海道のアイコン

北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

~紹介できなかった業務から~

2018年12月28日
大雪山国立公園 岩城大洋

 みなさま、こんにちは。上川自然保護官事務所の岩城です。

師走も佳境に入り2018年も残り僅かとなりました。1年を締めくくる今の時期は、去る年と新たに来る年を思い浮かべながら、年賀状へとそれらの言葉を添えられるあたたかい時期だと思います。

毎年ぎりぎりになっていた年賀状を今年はなんとか書き上げることができました。

皆様はすでに投函されましたでしょうか。

まだでしたらお早めに。

さて、今回のAR日記は、2018年の業務に関して少しではありますが振り返りたいと思います。

今年も様々な業務がありました。計画していたもの、突発的なものなど。

その中で印象深かった業務をふたつ紹介したいと思います。

<大雪山国立公園編>

大雪山国立公園では登山者の入り込み数を把握するため、主要な登山口に登山者カウンターを設置しています。

上川管内では、黒岳・赤岳・緑岳・愛山渓温泉の4箇所に設置しています。

 

          黒岳7合目付近に設置した登山者カウンター

 

 今年度、私は黒岳及び赤岳を担当しました。業務はカウンターを設置・回収し、その後カウンターに蓄積されたデータの数値をまとめ上げることです。

カウンターの仕組みは登山者がカウンターを横切る際に、その登山者が発している熱を感知しカウントする仕組みとなっています。正式には熱感知式カウンターといい、

設置の際は必ずといっていいほど、登山者の方に質問攻めにされます。

「こんなたいそうな物は、何に使うんだい」「これはカメラなのかい」などみなさんカウンターに興味津々です。

私の返答を聞くとみなさん「大変だね。ご苦労様」と笑顔を返してくれました。

私が設置した地区の登山者カウンターのカウント値の結果は下記のとおりです。

 

黒岳での数値(6月29日~10月12日まで設置)

年間およそ29,000

赤岳では(6月28日~10月4日まで設置)

年間およそ10,000

※およそと記す理由は、熱感知式センターでは多少の誤差が生じるケースがあるためです。

大雪山国立公園では、登山者カウンターを設置するようになってから5年が経ちました。(データの公表は3年目)

今後10年、20年とデータを蓄積していくことは、大雪山国立公園の管理運営にとって貴重なデータとなります。

例えば、入山者が増えすぎてしまった状況があった場合には、登山道に負担が掛かりすぎます。データがあればその対策に素早く取りかかる事が可能となるのです。

 

 来年度も引き続き登山者カウンターを設置し皆様に結果をお伝えできればと思っています。

2018年度登山者データの詳細は下記の環境省のサイトからご覧になれます。

<大雪山国立公園登山者利用者数調査結果>

https://www.env.go.jp/park/daisetsu/data/tozandoriyosya2016.html

 

大雪山国立公園編はここまで。

 

<上川町編>

 アクティブレンジャーの仕事は公園内だけとは限りません。公園外で国立公園や自然環境のことを理解してもらうため様々な業務を行っています。

その中でも今年思い出に残った業務は、上川町内の子ども支援センターで行った親子講座での授業でした。

受講に来てくれたのは上川町の小さなお子さんがいるお母さんたち10名。 授業の内容は「小さな子どもたちが食べてはいけない・触ってはいけない植物など」をテーマとして実施しました。

 

○身近に生育しているオンコの実(イチイの実)の種部分には有毒成分が含まれているので、種までを食べてしまうと中毒症状を発症する可能性があること

ヤマウルシが茂っている場所では、直接ウルシに触らなくてもかぶれてしまう事象があること(湿度が70パーセント以上ある午前10時前後はウルシオールが揮発しやすく近くを通っただけでかぶれてしまう事もあります)

蚊に刺されている最中に蚊を退治するとはかゆさが増大してしまうのでやめた方が良いことなど

※蚊が吸引している途中で蚊を叩いてしまうと、蚊の唾液成分(かゆみ成分)が人の体内に残ってしまうため。蚊が自然に吸引を終えるときは、唾液成分(かゆみ成分)も回収してくれるため、かゆみは少なく済む。

 

蚊を叩かないでジーッと吸引しているところを見守ることには皆さん「できないよね」と困惑していました。

 

                   授業の様子 

  

 授業の最後には必要以上に植物や自然を怖がったり、警戒したりはしない様に次の言葉で締めくくりました。

「豊かな自然があってこそ虫や昆虫は生息し、様々な植物は生育することができます。それぞれの動植物には生態系の中で重要な役割を担っている大切な生き物なので大切にして下さい。」

自分の胸にも言い聞かせながらとてもいい時間を過ごせました。

今年のAR日記はここまでです。

皆さんにとって来年も良い一年となりますように願っています。

良いお年を。。