アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
冬の釧路湿原
2019年02月12日釧路湿原自然保護官事務所の佐野です。
北海道では、大雪が各地で度々降り、公共機関が大幅に乱れるなど生活に影響が出ている地域もあります。
そんななか、釧路湿原では快晴の日が続き、今年に入り一時は積雪もほとんどなくなり、道路はもちろん、畑などでも地面が顔を覗かせていました。
昨年も、積雪量が少なく歩くスキーで巡視をする事が出来なかったので、今年こそは!っと張り切っていたのですが、まさかの積雪量が少なく、先月の巡視では秋頃と変わらぬ装備でした。
1月に巡視した場所の様子(雪がほとんどありません)
すっかり私の中で、寒さは厳しいものの、雪はもう降らないかもと、2月5日の釧路湿原鳥獣保護区内の巡視もスノーブーツで大丈夫かなと気を抜いていると...
前日2月4日に珍しくまとまった雪が降り、朝からあせあせと釧路湿原野生生物保護センターの除雪を行い、明日の巡視に向けてスノーシューを準備!(今回は歩くスキーではなくスノーシューをチョイス)
翌日、天候に恵まれ快晴と最高の巡視日和。この日は、釧路自然環境事務所野生生物課の若手のホープ2名と釧路湿原鳥獣保護区内の巡視を行いました。普段は、釧路湿原ボランティアレンジャーの皆さんや先輩アクティブレンジャーと行なっていて、いつも先導してもらっていました。
今回初めて、自分自身が先導する事となり、極度の不安と緊張を胸に秘めながら、スタートしました。するとスタート早々にアクシデントが発生。スノーシューが、まさかの破損で使用できず、途中膝上まで雪に埋れながら進む事態も...
巡視の様子
いつもであれば1時間半もあれば目的地点にたどり着くところ、2時間半近くかかってしまいました。
登り終えた所で一休憩
巡視中、普段はあまりオオワシやオジロワシを観ない地点に複数羽おり、なんだろうと思っていると、ほどなくカラスがたくさん群がっている場所を発見しました。双眼鏡で覗くと、エゾシカの死体に集まっていました。
赤丸:カラスの群れ 黄色丸:オオワシ
上記写真拡大図(赤丸部分)
上記写真拡大図(黄色丸部分)
これに誘引されてワシ達もいつも以上にいるのだと納得しました。動物の行動が変化に気づかせくれました。
私たちをみつめるオオワシ
また、丘陵地の根元付近や湿原内には湧水が流れている場所がいくつもありました。この湧き水は一年を通してほぼ同じ水温なため、冬も凍りません。極寒のなか、野生動物達にとってこの湧き水は貴重な生命源!
湿原へ流れる涌き水
巡視終了目前、一羽のカラスが私たちの横を通過し、通り過ぎた後、鳴きました。
全員立ち止まり、なんだ、あの鳴き声は!と耳を傾けました。それは、鳴き声が特徴的なワタリガラスでした。ワタリガラスはカラス類の中では最大の大きさですが、単体を一瞬見ただけでは、馴染み深いハシブトガラス・ハシボソガラスとほぼ変わらない鳥です(ハシボソガラスとワタリガラスが一緒にいると一目瞭然です!)。このワタリガラスはユーラシア大陸全域や北米大陸に生息しているのですが、北海道では主に道東を中心に冬鳥として渡ってきています。
今年もワタリガラスの声を聞くことができ、嬉しい気持ちになりました。
巡視は無事?終了し、鳥獣保護区内での異常は特にありませんでした。
今回は、天候も荒れず怪我も無く終える事ができましたが、道具の不備などは、怪我や事故に繋がる危険があり、日頃より道具の確認、メンテナンスをしなければと深く反省しました。
みなさまも冬山に限らず、自然界に遊びに行く際は、油断せず、道具や装備、服装など万全に、大自然を満喫しましょう!