アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
尊さで胸いっぱい
2019年02月14日こんにちは、東川 渡邉です。
2月初旬、日高町国立青少年交流の家にて、パークボランティア冬期研修会を開催しました。
今回は、今春に完成したパークボランティア自然解説マニュアルを活用し、11月に加わった新規会員と共に
パークボランティア活動に特に必要な内容について知識を深めることを目的に、二日間の室内研修を行い、延べ76名の参加がありました。
研修では大雪山で見られる高山蝶や昆虫、高山植物について各種の生態や特徴、分布などの詳しい講義を、外来生物の講義では外来種対策や、実際にパークボランティアで駆除活動のある特定外来生物セイヨウオオマルハナバチとウチダザリガニの取り込まれた経緯から現状、防除の仕方について、それぞれパークボランティア、外部の専門家、職員が講師となり講義を行いました。
外来種ははじめて見聞きする新規会員の方もいらっしゃったようで、同じ日本でも道外から入ってきたものは外来種と呼ぶことや、生態系を守ることの重要性を知って頂けたと思います。
ここでは特別に、研修に来られなかった方のために、私が特に印象に残っている、「大雪山の高山植物」の1コマ「植生分布による分類」について紹介します。
「冬季には世界一の強風が吹くとされる大雪山。また北は東シベリア・サハリンから、北東はカムチャッカ・千島列島から、南は本州から渡ってきた花々の交差点となり、大雪山は日本の何処の山域よりもお花の種類が多いとされています。
植生分布は高山風衝地、積雪地、湿原などにあり、その中でも特に過酷な高山風衝地には強風が吹きさらすため積雪もなく、植物の生育には大変厳しい環境となりますが、そこに耐えることができる高山植物があり、それらは3分類にされます。
①風衝地の中でも比較的安定した立地で生息しカーペット状に拡がる「高山ヒース」(ミネズオウ、イワウメ等)、②風衝作用が厳しく砂礫が移動する不安定な場所に拡がる「高山風衝草原」(エゾオヤマノエンドウ、キバナシオガマ、ホソバウルップソウ等)、③風衝作用・砂礫の移動が最も厳しく日射による乾燥の激しい場所にある「高山荒原植生」(コマクサ、タカネスミレ等)。
一口に風衝地といえども、3分類されること、知ってましたか?また、それらは大雪山の何処にあたるか思い当たったでしょうか?
きっと講義中も、今もなお、逞しく生きている高山植物を想像し胸がキュンとした方は多数いるでしょう!また、「日本一お花の種類が多い山岳地」と聞き、まるで自分自身のことのように誇らしい気持ちにもなったでしょう?尊いです、大雪山・・・。
研修の最後は、日高町消防署の方に来て頂き、一般救命講習を受講しました。ここでも、救急救命士の方へ登山時に起こりえる怪我の対処の仕方など質問が飛び交い、有意義な講義となりました。
6月からは本格的に山での活動がはじまります。今回の研修会で習得した知識を活かし、大雪山保全のために活発に活動に参加されてください!一緒に尊い気持ちを共有しましょう。
皆さんと活動出来る日を楽しみにしています。