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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

大雪山のスノーモビル乗り入れ規制

2019年03月14日
上士幌 上村 哲也

 自然環境の優れた地域でのプレジャーボート、スノーモビル、オフロード車などの無秩序な使用は自然環境に悪影響を与えることから、これらを防ぐために国立公園内の特別保護地区、車馬等乗入れ規制地区、原生自然環境保全地域において、それらの乗入れを禁止しています。(北海道地方環境事務所のウェブページから)

 自然保護官事務所では、乗入れ規制地区への入口となる場所に看板を立て、乗り入れ規制を周知しています。また、これらの地区を随時、巡視しています。この日、十勝三股の森、奥深くに通じる林道の入口まで来ると、スノーモビル乗り入れの痕跡がありました。この場所は昔、山奥に野湯が湧いていて密かに人気であったらしいのですが、2016年の大雨被害で、道路は寸断、湯殿も流れ去っています。

林道に残るスノモビルのキャタピラ痕

 スノーモビルが自然環境に与える悪影響とは、排気ガスや踏圧、エンジンの音が考えられます。

 十勝三股は、石狩連峰やクマネシリ山塊に囲まれた広大なカルデラ地形で、スノーモビルのエンジン音は山に跳ね返されて森中に響き渡ります。

 大雪山に棲む野生動物たちは、ほとんどが臆病な性格をしています。シマエナガやハシブトガラ、カワガラス、ヤマセミ、エゾリス、ウサギ、...。大きな音におびえながら身を隠しているでしょうか。何度も繰り返されれば引っ越しも考えるでしょうか。これら臆病な小動物を捕食する猛禽類やキツネたちも、彼らがどこかへ姿を消してしまっては大迷惑です。静かな森は静かなままに、真っ白な野原は真っ白なままに、そおっとしておいてほしいものです。

 そうそう、冬眠を妨げられると不機嫌で凶暴になる山親爺もいます。まだ体温が残っているのではないかという真新しい足跡を見つけて、この日は退散することにしました。

目覚めた山親爺の足跡