アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
羊蹄山でのお仕事
2019年07月31日皆さまこんにちは。
洞爺湖から羊蹄山方面へ向かっているとパラグライダーをしている人達をよく見かけます。
「気持ちいいんだろうな~」と思いながら、いつか体験するぞ!と考えている洞爺湖管理官事務所アクティブレンジャーの増田です。
パラグライダーも気持ちよさそうですが、羊蹄山での仕事も綺麗な景色やお花に癒やされ気持ちが良いんです。
そんな羊蹄山で今年度行ったお仕事を少し紹介します。
6月28日 羊蹄山避難小屋トイレの点検作業
地元の事業者さん協力のもと、浮遊物や沈殿物の状態の確認や水温、透過度、PH値等を調べます。
↓汚水も処理を促進するため、米ぬかと発酵促進剤を投入
このトイレは水洗式ではありません。
トイレの処理機能を正常に維持するために使用済みトイレットペーパーを他のゴミと一緒に必ず持ち帰って下さいね☺
トイレの点検作業中シマリスを2匹見かけました。
何をしているのか気になったのでしょうか。
7月2日 コマクサ除去
羊蹄山に本来自生していなかったコマクサの除去活動のお手伝いをさせていただきました。
この活動は今年で9年目となり、地元倶知安町などが主体となって国の天然記念物である「後方羊蹄山の高山植物帯」の保護のために続けられています。
↑皆でコマクサを探しているところ
↓ハイマツの下まで念入りに生えていないかチェックします。
除去した個体は記録をつけていきます。
これまでの8年間の除去活動によって個体数は大幅に減少し、今回は有花茎個体(つぼみや花の付いた茎がある成熟した個体)1株と無花茎個体(つぼみや花の無い未成熟な個体)5株のみの除去となりました。
コマクサは少しでも根が残るとそこから発芽してしまうため、丁寧に根を除去する必要があります。
羊蹄山には自生していないはずのコマクサがなぜ生えてしまったのか。
それは、登山者が種を蒔いたからです。
種が蒔かれた場所はエゾカンゾウなど約80種の高山植物が群生している特別保護地区でした。
高山地帯のような厳しい環境条件のもとでは植生が一度破壊されると、その後の復元はきわめて困難です。
万年単位で今の特異な羊蹄山の植生(山の個性)が成り立っています。その特異な羊蹄山の個性をしっかりと子孫に受け継いでいくことはとても大切なことです。
この程度ならば他の高山植物に大きな影響はないだろうという安易な考えは後世に大きな禍根を残すことになります。
綺麗なお花は摘んだり植えたりせず、写真を撮るだけにしてくださいね(*^-^*)
↑母釜付近に咲いていたイワウメ