アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
どうか気を付けて
2019年09月04日先日、こんな連絡が入りました。
「シマフクロウの死体が運ばれたので回収をお願いします」
またか、、、と悲しい気持ちを抱えながら電話を受けました。
シマフクロウは、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律にて国内希少野生動植物種に指定されていることに加え、環境省レッドリストにて絶滅危惧種ⅠA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)に分類されています。現在確認されているのはわずか165羽。その少なさから環境省では保護増殖事業という取り組みを行い保護を図っています。
この保護増殖事業とは、自然状態で安定的に存続できるような状態を目指し、給餌や巣箱の設置、標識調査等により個体数を増やそうという取り組みです。
翼を失ってしまった等の理由で野生復帰が難しい個体に関しても、動物園での飼育下繁殖に協力してもらったりと、様々な努力をしている矢先の悲しい連絡でした。
一時保管して頂いていた施設に到着し、死亡個体を見ればまだ若そう。脚も両翼もきれいで一見、あまり怪我をしているような印象は受けませんでしたが、その個体は息絶えていました。
左翼 右翼
尾羽
頭部を見ると出血の跡、交通事故によるものだと推測できました。
後にわかりましたが、今年生まれたばかりの幼鳥でした。
毎年のように起こる野生動物との交通事故。彼らはいつどこから飛び出してくるか分からず、気を付けてほしいと言われたところで気を付けようがないかもしれません。ですが、車のスピードを出し過ぎない等、運転には気を付けてほしいです。道東の道は広く、車も少ないためか、もの凄いスピードで走っている車をよく見かけます。道東は北海道内でもシカなどの飛び出しが多い地域。
どうかそのことを念頭に置いて運転してください。
国交省ではヒヤリハットマップというものを作成し、動物の飛び出しが多い地域などを掲載しています。
犠牲になる野生動物をこれ以上増やさないために、是非、ご参考ください。
https://www.hkd.mlit.go.jp/ks/douro_keikaku/qgmend0000000420.html