アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
離島巡視~大黒島~
2019年09月10日皆さまこんにちは。
北海道内外各地で猛暑日が記録されていますが、冷涼な釧路湿原でも今年は暑い!と9月に入ってからも半袖です。
先日、一泊二日で離島の巡視に行ってきました。厚岸町に位置する大黒島です。
大黒島は島全体が国指定鳥獣保護区(特別保護地区)に定められており、海鳥にとって、とても大切な集団繁殖地となっています。
天候に恵まれ快晴の中、港からいつもお世話になっている昆布漁漁師さんの船に乗って出発しました。
講師である厚岸水鳥観察館専門員と環境省職員2名で船に揺れながら海上の様子を確認。
島に上陸後、尾根沿いを徒歩で巡視しながら、鳥類20種及び植物約40種(開花・結実しているものを含む)を確認しました。
<巡視の様子とハッカの花(とても良い香りがしました)>
この時期、海鳥の繁殖はすでに終わっており、詳しい繁殖状況まで分かりませんでしたが、地面には営巣穴が無数にありました。
<ウトウのものと思われる営巣穴>
崖の上にとまるオジロワシやハヤブサといった猛禽類の他、オオセグロカモメやウトウ、夜にはコシジロウミツバメを観察することができしました。
<オジロワシとハヤブサ>
定点調査(沖合調査)では、ゼニガタアザラシやラッコ、カマイルカといった海獣類も確認されました。
暑い日だったのでとても気持ちよさそうに見えました。
<定点調査地からの眺めと確認したウミウとラッコ>
また、翌朝(2日目)の巡視では、海岸沿いで昆布漁が盛んに行われていました。
<昆布漁の様子>
今回の巡視では目立った異常はみられませんでした。
しかし、気がかりなこともありました。
それは、海岸に漂着していた数々のゴミと島に生育していた外来植物です。
ゴミは、海鳥や海獣類、魚などの生き物が誤って飲み込んでしまい、それが原因で命を落としてしまうこともあります。これは、一人一人がポイ捨てをしない等の工夫で被害を減らすことができます。
また、外来植物の存在は、本来の自然の姿を変化させてしまうことがあります。それは、植物単体への影響のみならず、在来植物と共生している他の多くの生き物の住処を奪ってしまう可能性もあります。
私たちが気軽にできることは、外来植物の種子を靴裏につけて運ばないことなのかもしれません。
今後も、ゴミ問題や外来植物に注視しながら、自分ができることに取り組み、様々な生き物たちと一緒に平穏な日々を過ごして行きたいと思います。
最後に、大黒島の巡視を終えたばかりですが、もう来年の巡視が待ち遠しい今日この頃です...